こんにちは。

今回は、
「地味で細くて伝わりにくいけど、長持ちのためにはとても大切な処置」
のお話しです。

 

このように、

歯と歯ぐきの境目にむし歯ができてしまった場合には、

むし歯を削って詰め物をする「レジン充填」を行います。

ただ、噛み合わせの部分などのように、歯ぐきから遠い部位の治療と違う点があります。
そして、その対策をしっかり行うかが治療の長持ちを左右します。

 

歯と歯ぐきの境目にむし歯ができた場合、
削った穴のすぐ隣には、歯ぐきがあります。

矢印の先には、水分が光っているのが見えます。

そして、歯ぐきと歯の境目には、
唾液や、血液、歯肉溝浸出液(歯ぐきから滲み出てくる液体)といった、水分があります。

この水分が、むし歯治療にとって大敵なのです。

 

詰め物が長持ちするためには、治療中に歯が乾燥している必要があります。

もしも、乾燥状態が作れないままでレジン充填を行うと、
歯と詰め物の間に隙間ができたり、
穴の中に細菌を巻き込んでしまい、
将来、二次むし歯になってしまうことが考えられます。

 

ちなみに、デビューっと風をかけて水分を吹き飛ばすくらいでは、
治療中に継続的に乾燥状態を保つことはできません。

確実に、乾燥状態を維持できる方法をとる必要があります。

 

そこで行うのが

歯肉圧排(しにくあっぱい)

という処置です。

 

時間にして、1〜数分の処置ですが、
歯ぐきの境目の詰め物の長持ちに、大きく影響します。

奥歯のほっぺた側に、以前のむし歯治療による詰め物がありますが、二次むし歯になっています。

詰め物を外すと、中にはむし歯がたくさん潜んでいました。

むし歯の取り残しがないように、
う蝕検知液でむし歯だけを染めて、削り、また染めて、削り、を何度か繰り返します。
むし歯の取り残しがないようにするために、大切なステップです。
(感覚だけでは済ませてはいけないポイントです。)

むし歯を取りきりました。

が、よく見ると、

詰める穴の周りには歯ぐきからの出血があります。
さらに、穴の輪郭の一部は歯ぐきの中にあります。

これでは、乾燥が保てません。
この状態で進めると、将来再びむし歯になり、歯の寿命が短くなることも考えられます。

このまま詰めれば、治療時間は短くすむので、患者さんは楽かもしれませんが、
長持ちしない治療は嫌ですよね。

そこで歯肉圧排の登場です。

歯ぐきの中に細い繊維をより合わせた糸を入れ、歯ぐきを圧迫します。

別の角度では、

歯ぐきの中に黒い糸が入っているのが見えます。

これで歯ぐきより深い位置に詰める境界があっても、水分や歯ぐきに邪魔されることなく、
精密に詰め物を接着できます。

 

このように歯肉を圧迫して、排除しているので、歯肉圧排と言います。

・糸が水分を吸収する
・歯ぐきを圧迫して詰める穴から遠ざける

などの効果があります。

 

むし歯治療の他にも、

・型取りの準備
・詰め物のセット時

など、歯ぐき近くの精密な治療には欠かせない処置です。

 

詰め終わったのがこちら。

元々、セルフケアが難しい場所だからこそ、
むし歯の原因=プラークが溜まり、むし歯になった経緯があります。

その部分に適合の甘い詰め物を入れてしまえば、治療前よりも健康を維持するのが難しくなってしまいます。

 

一つ一つの治療工程を、確実に精密に行うことは、
長持ちする治療結果につながります。

 

 

ちなみに、他の歯科医院さんで歯ぐきの境目のむし歯治療を受けた治療跡が、こちら。

詰め物が歯ぐきに覆いかぶさってしまい、その隙間に細菌たちがベッタリと住んでいます。。。
これではメインテナンスを行うことができません。

過去に歯ぐきの境目のむし歯治療をしたことがある方は、一度見直してみるといいかもしれません。


皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院