小臼歯と犬歯のダイレクトボンディング

前から3番目と4番目の歯のむし歯治療のお話です。

それぞれの歯の間にむし歯の入り口があります。

裏から見るとむし歯がよく見えます。

4番目の歯の銀歯の横には、ヒビが入っています。(黄色線)

歯には噛むことにより常に歪みの力がかかるのですが、その歪みに耐える大事な部分が、歯の両脇の辺縁隆線と言われる部分です。(緑色マル印)


この歯は過去に中央部分をむし歯で失っており、一つの構造体としての強度が落ちてしまったために、辺縁隆線にかかる歪みが大きくなっていたと推測されます。

その後、辺縁隆線の下にむし歯ができたことで歯の強度がさらに落ち、その結果、ついに耐えられなくなってヒビが入ったと考えられます。


ヒビとむし歯の関係では、逆の順番でむし歯になることもあります。
歪みによって先にヒビが入り、その後、ヒビから細菌が入ってむし歯になるパターンです。

その場合、むし歯の根本原因は「ヒビが入った原因」であり、再発を防ぐためにはその原因解決が必要です。

対症療法だけではなく、根本にある原因除去も行うことが、長期間のお口の健康維持のためには大切です。

治療に戻ります。

まず、ラバーダムをして、 

唾液(水分、細菌、その餌)のない環境を作った後で、治療部位の最終クリーニングを行います。(decontamination=感染の除去)

そのためには、どこが汚れているのかわかる必要があるので、プラーク染め出し液で汚れを見えるようにしています。(ピンク色に見える部分)

そして、クリーニングが終わったのが、こちら↓

数枚前の写真と同じに見えますが、清潔さが違います。

この後で、初めてむし歯を削り始めます。
ここまでの清潔な環境作りは歯の治療において、とても大切で基本的なことです。

まず銀歯を外し、

その下に透けているむし歯を削り始めます。
すると…

むし歯の全体像が見えてきました。

さらにむし歯を削り、

むし歯を全て取り切って、この後に詰めるレジンとの境界も仕上げた段階です。

この後、コンポジットレジンを積めるための様々なステップを一つ一つ丁寧に行い…

完成です。

  • レジンと歯の段差や隙間がないこと
  • 反対の歯との噛み合わせが再現できていること

はもちろん、

  • 本来の歯が持っている基本的な解剖学的形態
  • 自然界に存在する曲面
  • 削らずに残せた自分の歯からレジンへの連続性

をできるだけ再現します。


しかし、これが難しいのです。。。


ダイレクトボンディングは、治療の質が歯科医師の知識と技術によって大きく左右される治療法なので、次のことを理解したり実践しているいることが大事だと思っています。

  • 歯や歯髄の特徴
  • 歯を支える歯周組織の特徴
  • 噛み合わせの理論(顎関節、筋肉、歯の関係性)

  • ダイレクトボンディングの基本的な理論や材料の特徴
  • ダイレクトボンディングの治療の流れ
  • 治療に必要なステップを一つ一つ確実に行うこと


書き出せば当たり前のことばかりなのですが、やはりそれが一番大事だと思っています。
歯科治療は、いかに基本を確実に理解し、実行できるかがポイントです。


特に、ダイレクトボンディングで使うレジンは、水分のコントロールがとても大切な材料です。
そのために、ラバーダム防湿を行うのは必須です。

質の高い治療を提供し、患者さんの受け取る利益が少しでも多くなるよう、トレーニングと勉強を続けます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE

名古屋市千種区池下 ナゴヤセントラルガーデン内
歯周病治療、歯内療法、審美歯科、セラミック治療、インプラント、ダイレクトボンディング、歯の移植、予防歯科、総合治療
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