「被せ物が長持ちする」ってどういうこと?
こんにちは。
患者さまから
「その被せ物は長持ちしますか?」
とご質問をいただくことがあります。
歯科治療における「長持ち」とは、特に、被せ物の長持ちとは、どういうことなのでしょうか?
私のこだわりでもある「長持ち」について、スタートです!
それぞれの長持ち
「長持ち」に関しては、患者さまと医療側との間で認識が違うことがあります。
患者さま:その被せ物自体が壊れないことが長持ち
歯医者:被せ物が入った歯(被せ物を含む)と、歯を支える歯ぐきが健康に保たれることが長持ち
「もたない」とはどういうこと?
被せ物自体は、めったに割れたり、かけたりはしません。
セラミックスの被せ物の場合、通常以上の力がかかった場合に欠けることは考えられますが、
基本を守っていれば欠けることは頻繁にはありません。
(歯ぎしりなどの噛み癖が強い場合には、セラミックスをお勧めしない場合はあります。)
金属ならばなおさら欠けることは、めったにありません。
では、「もたない」とは、どういうことでしょうか。
例えば、洋服が長持ちするという場合、
生地自体が丈夫か?
生地が色あせるか?
だけでは判断しませんよね。
その洋服全体の問題として捉えて、
裁断はどうか?
縫製が丈夫できれいか?
などなど、
洋服を作る色々なステップが丁寧に正確に行われていれば、長持ちする洋服ということになるのかと思います。
被せ物に関しては、
1.被せ物自体が丈夫?
2.白いものに関しては、変色する?
だけではなく、
3.被せ物の脇から二次むし歯ができにくいか?
そのためには境目が精度高くピッタリ被っているか?
4.神経がない歯なら、根っこの中にバイ菌はいない?
5.被せ物を支えている根は折れたりしない?
6.その歯を支えている歯ぐきは健康?
というように、単独の歯についてでも、
歯と歯ぐき全体で、治療した歯と考えます。
これらのどれかに問題が出たとき、「もたない」ということになります。
実際には、お口全体で考えますので、その他に、顎関節とかみ合わせの位置や力、
歯並び、歯ぐきのタイプ、プラークコントロールのレベルなどを複合的に捉え、
長持ちするための治療を進めます。
被せ物が入った歯と歯ぐき全体を長持ちさせることを目指しましょう。
長持ちさせるためには
上に挙げた6項目への対策として、
1.精度の高い治療のために、
→①拡大視野(拡大ルーペやマイクロスコープ)による治療
②必要な治療ステップを十分行う
③理想の材料を選択する
2.かぶせた歯の周りがいつも綺麗でいるために
→①セルフケア
②メインテナンス
を行います。
精度の高い治療でしっかり治し、あとは、きれいを維持して長持ちさせる。
ということです。
今日は「長持ち」についてでした。
患者さまは、もちろん長持ちさせたいでしょうし、
様々な技術や考え方も、長持ちさせるためにあると言っても過言ではないと思います。
「長持ち」する安心の医療を提供できるよう、これからも継続的に研鑽を積んでいきたいと思います。
皆さまがお口にストレスのない、楽しい時間が過ごせますように。
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁