歯の中に細菌が住んでる!?気付かないうちに進行する根の病気。−前編−
こんにちは。
今回は、根の病気の中でも、毎日の診療の中でとてもよく遭遇するケースについてご紹介します。
根の病気の原因は、細菌感染です。
その細菌を取り除き、再発を防ぐために必要な処置のお話です。
レントゲンの一番右端の歯が、今回の治療対象の歯です。
根っこの先の骨が周りより黒くなっています。
これは歯の中の細菌が原因で、骨が溶けたことを表しています。
痛みはありませんが、穏やかに進行し、将来、
「噛むと違和感があって、思い切り噛めない」
「疲れた時や体調が悪くなると、なんとなく違和感がある」
と感じるようになる可能性があります。
さらには、痛みが続いたり、グラグラしてきて、抜歯に至る可能性もあります。
このまま放置しても、細菌がいる限り自然治癒は望めません。
患者さまに状況の説明をし、治療の選択をご自身でしていただいたあと、治療を開始しました。
写真は治療前です。
写真右下の被せ物の脇には、黒く変色したむし歯が見えています。
外してみましょう。
右下の写真の被せ物の脇の黒い線は、外す前の写真で黒い線として見えていました。
被せ物がぴったりかぶっていなかったために、隙間から汚れと細菌が入っていたと考えられます。
歯の表面には接着剤の残りなどがありますので、それを取ると、
歯を補強するための金属のブロックが見えてきました。
しかし、その金属のブロックの周りにはむし歯が進行し、黒く変色しています。
被せ物の中で、気付かないうちに進んでいたようです。
このむし歯は、レントゲンでは見えません。
被せ物の金属に重なってしまうためです。
これらの細菌が奥へと進み、根の先端から出て体の免疫部隊と反応した結果が、
はじめに見ていただいたレントゲンにうつっている骨の溶けた状態です。
・このことについては、こちらの記事でもイラストで説明しています。
ところで、治療が終わっているはずなのに、なぜ中に細菌がいるのでしょうか。
そして、いつからここにいたのでしょうか。
可能性は主に2つ。
- かぶせる前から、中にいた。(根の治療の質)
- かぶせた後に、隙間から入ってきた。(その後の被せ物の質)
実はほとんどの場合、両方の混在です。
この2つの質によって、根の治療の予後は左右されると言われています。
せっかく頑張って治療を受けても、細菌のせいで時間の経過とともにこのように悪化しては、
再治療を繰り返すことになり、最終的には歯を失うこともあります。
根の病気の原因は、細菌感染です。
治す歯を細菌感染させず、長持ちさせるためには、
- かぶせる前に、歯の中の細菌をできるだけ少なくする。
- かぶせた後に細菌が入らないために、被せ物や詰め物はできるだけぴったりの精度で入れる。
ことがとても大切です。
この治療の続きは次回。
1.かぶせる前に、歯の中の細菌をできるだけ少なくする。
ための処置のお話からです。
お口にトラブルなく、快適な毎日が過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁