歯科治療とコミュニケーション(後編)
こんにちは。
今日はコミュニケーションの後編です。
後編では、コミュニケーションを通してみえてくる、とても大事な部分についてのお話です。
私が患者さまとの関係性の中で、最も大切にしていることでもあります。
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前編では、
・患者さまの不安の解消、納得のためには、コミュニケーションがとても大切
・患者さまの利益のためには、お伝えする内容が多かったり、時間も必要
・理解しやすいように、私たちはできるだけの努力をします
という内容でした。
後編では、
このような説明や対話を通して見えてくる、とても大切なことのお話です。
コミュニケーションの中で大事なこと
治療内容の説明や、今に至る経緯などをお聞かせいただく中で、
だんだんと見えてくる、その他の内容がとても大切です。
それは、患者さまの価値観、思い、考え方、優先順位、生活習慣などです。
治療は、ある程度期間がかかるものですのですし、メインテナンス期間に入った後には、
もっと長い時間のお付き合いをさせていただくことになります。
患者さまの考え方や価値観をよく理解した上で、計画を決定し治療を進めていくことで、
一人ひとりの患者さまに合った、最善の結果を提供できるものと考えています。
同じ症状でも、患者さまが違えばゴール設定やプランが変わることは、
なんら不思議はないと思います。
POS
このことは、医療の分野では、POS (Problem-oriented System) と言われています。
POS (Problem-oriented System) とは、
1968年にアメリカの内科医、Dr. Weedが提唱した考え方です。
「患者さまの問題が、QOL を大切にしながら、最も効果的に解決されるように、
いつも全人的立場から問題を取り上げ、考え、かつ行動する一連の記録である。
常に、全人的ケアをめざして、患者のために、患者の側にあって、患者とともに、
知識(science) と身についた技術(skill)をもって、命の主体である人間(humanity)のケアを
実践するシ ステム(パラダイム)であり、哲学でもある.」
(日野原先生 1986 年第7回POS研究会講演より)
とあります。
- 患者さまの人生の質のために
- 患者さまの意見や考え方に配慮して、患者さまを尊重して
- 病気を持った生体としてだけではなく、一人の人間として対面し、行動しよう。
ということです。
対照的な言葉に、DOS (Disease-oriented System) があります。
「病気や医師を中心にした医療」と解釈されます。
病気を持った患者さまに、医学的に必要なことをするだけの医療 (DOS) ではなく、
一人の人間としての患者さまに、人生の質を大切にしながら行う医療
ということですね。
とても共感します。
ちなみに、日本では、1979年に日野原重明先生(聖路加国際病院名誉院長)が導入し、
研究会を発足しています。
単純に私にとっても、色々お話して患者さまのことを知りながら過ごしたほうが楽しいです。
コミュニケーションは歯科治療の基本だと思っています。
必要な時間
というわけで、私の診療では、
初診のご予約は1時間のお時間をいただき、お話を十分伺いたいと思います。
その中で、必要な検査や応急処置、説明して、お考えを伺って…と流れていくと、
1時間はあっという間です。
もしも、ご希望のお時間に30分の予約しか取れない場合は、
次のご予約時に、説明のお時間を取らせていただいております。
初回にしっかりお話しできないのは申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願い致します。
(初診につきましてはこちらの記事もご覧ください。)
また、カウンセリングのお時間として、
必要な場合は30分ー60分のお時間をいただくこともあります。
治療スタートまでに時間はかかりますが、これから始まる大切な治療において、
患者さまの利益になる大事なステップです。
情報の共有と、明確なゴール設定をして進めましょう。
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今回は、コミュニケーションの後編でした。
・POS=一人ひとりの価値観、考え方の中で、人生の質を大切にしながら、患者さまに最適な医療を行う。
・POS とDOS
・必要な時間とステップ
今日の内容は、私が思う歯科医師という仕事の魅力の一つでもあります。
そして、私なりに最も大切にしている部分です。
ただでさえ、歯科治療は怖かったり痛かったり、治療期間が長くてストレスの溜まりやすいもの。
しっかりとコミュニケーションをとって、ストレスをできるだけ少なく進めたいものです。
お口のストレスなく、人生を楽しく過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁