ラバーダムのもう一つの役割（虫歯治療）

歯科治療が成功し長持ちするためには、ラバーダム防湿が大切だという事は、このブログでも度々紹介しています。

前回の記事「被せ物を付ける時、唾（つば）が付かないために必要なこと。」でも書きましたので、よろしければご覧ください。

しかし、ラバーダムには感染防御以外にも、とても大事な役割があるのです。

それは、「作業スペースの確保」です。

治療成果を長持ちさせて自分の歯を守りたい方に

繰り返すむし歯でお悩みであったり、治療成果を長持ちさせて自分の歯を守りたい方に、ぜひこのことを知っていただきたいと思い解説をします。

歯の間の部分に黒くなった虫歯があります。

この虫歯は慢性虫歯で、ゆっくりと進行するタイプです。
その場合は穴は開かずに進行し、ゆっくりと歯が弱くなります。
中の虫歯が黒く透けて見えています。
隣の歯のセラミック治療のタイミングで発見され、治療が必要と判断しました。

今回は、ダイレクトボンディングで治療します。
この歯の治療の大きなポイントは、

青矢印の部分。
むし歯の輪郭の歯ぐき側の部分が、歯ぐきに接する位置に及んでしまっていて、

• 歯ぐきに近いために、歯ぐきからの細菌の影響を受ける
• プラスチックを詰めるときに、下方向の歯ぐきが邪魔で作業スペースがないために、理想の治療ができない

ことが予測されます。

このまま削ってプラスチックを詰めると、ダイレクトボンディング治療が失敗してしまいます。
そこで、

ラバーダムを設置します。

すると、歯ぐきが圧迫されることで、歯ぐきに覆われていた歯が出てきます。
むし歯の下に、1mmほどのスペースができたことになります。

この状態でむし歯を削ります。

黒く透けて見えていた、中の虫歯が見えてきました。
むし歯を取り切って、

きれいになりました。

削った輪郭の下側は、

• ラバーシートにより歯ぐきがカバーされているため、清潔な状態で治療ができる
• ラバーシートが歯ぐきを圧迫することで、約1mmのスペースが生まれ、プラスチックを詰める処置が精密に行える

と、ラバーダムなしの治療とは、結果が雲泥の差なのです。

プラスチックを詰めて研磨まで終わりました。

詰めるための接着剤を塗ること、詰める操作、プラスチックを固めるためのライトの当てる角度、研磨操作、全てがこの清潔で乾燥した、約1mmスペース確保のおかげで、ダイレクトボンディング治療が精密に行えます。

ラバーダムは、口腔内常在菌と隣り合わせの虫歯治療においては、たくさんの役割を持っていて、必須のステップです。

ただ、長持ちする質の高い治療のためには、ラバーダムだけが行われていれば、それでいいわけではありません。
その他に多くの内容を満たしている必要があるので、ラバーダムだけに絞って歯科医院選びをするのも、また危険です。

これからも、患者さんがお口の健康を維持し、生涯自分の歯で楽しく生活できるための必要な情報をお伝えしていきます。

皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように

YF DENTAL OFFICE
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