唾液を防ぐだけじゃない、ラバーダムの大切な2つの役割
虫歯治療や根管治療の成功のために欠かせないラバーダム防湿法。
最近ではSNSや歯科医院のHPによって、多くの方に知られるようになりました。
治療中、歯に唾液由来の細菌が付着することで起こってしまう細菌感染を防ぎ、治療の質を高くする重要な方法です。
この写真のように、

お口の中での治療でありながらも、歯に舌や唾液からの細菌が付着しないようにするために、歯にゴムのマスクをつけ、唾液から隔離します。
ラバーダムを紹介している解説のほとんどは、ラバーダムの目的を「唾液が付かないようにするため」として説明しています。
しかし、ラバーダムには唾液対策だけではなく、他にもさまざまな役割があります。
その中でも今回は、どんなシチュエーションでも共通する、ラバーダムの大切な2つの役割について説明します。
歯ならではの特別な環境
ラバーダムの話の前に、歯科治療が難しくなってしまう要因についてお話しします。
歯の治療が難しいのは、言うまでもなく、治療対象である歯がとても小さいことが最も大きな要因です。
しかし、もう一つ、歯ならではの問題があります。
それは、「歯がお口の中にある」ことです。

「歯がお口の中にある」なんて当たり前のことですが、そのお口が狭い空間であることが、歯の治療では大きな問題を生みます。
歯が狭いお口の中にあるために、
- 指や器具は、唇の狭い隙間を通り抜ける必要があり、その時に細菌が付着する。
消毒滅菌システムで器具を清潔に保っても、歯に到達する前に周りの皮膚や粘膜から細菌感染したら、意味がありません。 - 歯の周囲は舌や頬に囲まれた狭い空間のため、器具の動きが制限される。
舌や頬に囲まれた狭い空間では、理想の位置や角度で器具を扱うことができません。
ラバーダム防湿は、この2つの問題を防ぐことができるのです。
それぞれを説明します。
1.器具が唇を通る抜ける時に、細菌が付着する

器具や指が、歯に辿り着くためには、上下の唇の間を通り抜ける必要があります。
唇の間はとても狭いため、器具や指は唇に触れながら通過することになります。
また処置中には、器具や指は、唇やお肌、お口の中の粘膜にに必ず触れています。
しかし、そのように器具や指が唇などに触れると、その表面に生息する細菌で汚染されてしまいます。
そこで、ラバーダム防湿を行うと、

唇やお肌、粘膜をシートが完全に覆うので、器具や指は、唇や粘膜表面の細菌に汚染されることなく、治療する歯に到達することができます。
予後不良につながる治療中の細菌感染は、唾液からだけではなく、周辺のお肌や粘膜由来の細菌も原因です。
このように、治療中には簡単に感染が起こってしまうため、本来とても緊張感を持って行われるべきものなのです。
ラバーダム防湿によって、広範囲の細菌侵入を防ぐことができ、長持ちする質の高い治療につながります。
2.舌や頬に囲まれた狭い空間のため、器具の動きが制限される
歯は舌や頬に囲まれた空間はとても狭く、器具を自由に動かすだけの広さがありません。
そのため、器具を限られた動かし方でしか扱えなかったり、視界が制限されて見たい角度で見られないことがあります。
ラバーダム防湿を行うと、

ラバーシートのテンションで唇やお肌をグッと押し広げることが出るので、歯の周りに空間を作ることができます。
ラバーダムをつけていて治療を受けているときに、グッと押された感じがするのはこの力によるものです。
そうしてできた広い空間があれば、
- 狙った角度や位置で器具を扱えるので、理想通りの処置ができる
- デンタルミラー(小さくて丸いミラー)を、様々な狙った角度から向けることができるため、視野を正確に確保した精密な処置が可能になる。
- 歯科医師は、上記2つによって、判断と手の動きが速くなるため、治療時間を短くできる
と、多くのメリットがあります。
患者様には想像の世界になってしまうため、イメージが湧きにくいかもしれませんが、
処置の連続で治療が完結する歯科治療にとっては、空間に制限がなく処置ができることは、とても大きなメリットです。

また、これは歯科医師目線の話になってしまいますが、やりたいことがやりたいようにできるので、治療のストレスが激減します。
患者様も、もちろん良い治療を受けるために、担当医にはやりたいことをちゃんとできているのが当たり前であって欲しいですよね。
ラバーダム防湿は、当たり前のことをちゃんと行うために必要な、環境作りといえます。
まとめ
ラバーダムは唾液の侵入を防ぐだけではなく、
- 唇や粘膜をカバーするために、そこからの細菌感染を防ぐことができる
- ラバーシートが唇や粘膜を押し広げることで、治療領域の空間を広く確保し、理想の処置を可能にする
確実に清潔な環境で治療ができる、ということですね。
でもこれって本当は、
当たり前の「守るべき歯科治療の基本」のうちの一つです。
歯科治療は、スペシャルテクニックをマスターしなくても、基本を確実に行い、それを繋げていけば良い結果を生み出すことができます。
「基本=簡単」と解釈さることがありますが、
「基本」は、深い理解と精度高い行動によって成り立つので、「簡単」ではないと思っています。
これからも、基本を確実に実行し、「ちゃんと治って長持ちする治療」を追求していきたいと思います。
今日もここまで読んでいただき、ありがとうございます。
適切な治療を受け、健康を確実に手に入れる方が一人でも増えますように。
皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE
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