予防歯科(メンテナンス編)

こんにちは。

いきなりですが、
みなさん、歯医者行くの嫌いですよね?

基本的には、できれば行きたくないですよね。

理由は…
痛い、怖い、辛い、何やってるかよくわからない、疲れる、長い、…などなど、
みなさんそれぞれお持ちかと思います。

 

今回は、そんな辛い経験をしなくて済むように、病気にならないようにする予防歯科の、
特にメンテナンスについてのお話です。

歯科医院は嫌な場所?ですよね…

歯科治療は様々なストレスを伴ってしまうことが多いでしょうから、
「歯医者に行くのは嫌なこと」になるのは、仕方ないと思います。

でも、それは、何か苦痛や問題があって、それを治療しに行くからであって、
歯科医院で治療を受けるのが嫌、なのではないでしょうか?

 

行く度に毎回辛い経験をしてしまう場所ならば、
行きたくない場所になるのも、当たり前のことですよね。
(もちろん、辛い経験にならないように、私たちが努力する部分でもあります。)

できれば、誰でもそんなことは一度も経験したくないことですね。

お口に一番必要なこと

そこで!
今までそういう経験をたくさんしてきた方も、そうでない方も、
そんな辛い歯科医院との付き合い方をしなくて済む方法があります。

それは、
メンテナンスを継続することです。

 

メンテナンスは、
車のメンテナンス、お肌のメンテナンス、など色々なところで使われる言葉ですね。

メンテナンスとは、状態を維持することです。

 

歯科でいうならば、
お口の健康な状態を維持するために、お口の中を清潔にし続けること。
これは、「治療」を受けるのではなく、普段の汚れの取り残しをクリーニングすることです。

歯科医院の機能は2つある

この場合の歯科医院の立ち位置は、
「治すための場所」ではなく、
「治さなくてもいいように維持するための場所」です。

初めは「治すための場所」として通院しても、
治療が終了したら、そこからは、「治さなくてもいいように維持するための場所」にかわります。

この場合は、

「辛くなってから駆け込む、できれば普段は近寄りたくない恐怖の場所」ではなく、

「自分をメンテナンスするための、習慣に溶け込んだ健康維持のための場所」とも言えます。

 

もう、体を壊してから慌てて治す、という時代は終わりにしましょう。
壊さない方法に視点を持てば、病気で生活がストップすることなく、
もっと日常を楽しむことができます。

定期検診(健診)?メンテナンス?

以前から、歯科に関しても、「定期検診(健診)」という言葉があります。

それは、
検診=特定の疾患(虫歯や歯周病など)の検査・診断
健診=健康状態の診査・診断

ということのようです。

つまり、どちらも、
状態を調べる、病気がないか調べる
といったニュアンスが強く、
お口の病気の主な原因である、細菌を除去する、という意味は含まれていません。

お口の健康維持のためには、
継続した感染源の除去が必須で、メンテナンスはそのためにあります。

私は、「定期検診(健診)」という言葉は使いません。
意味合いとして、しっくりこないからです。

メンテナンスの習慣で、トラブルのない安定したお口を

メンテナンスには、ご自身で毎日行う歯磨きも含まれますね。
しかし、どうしても自分だけでは掃除しきれない部分は、できてしまいます。
これは仕方のないことです。

そこで、クリニックで定期的にメンテナンスを受けて、
自分だけでは取りきれない汚れをクリーニングし、
病気にならない清潔なお口の環境を維持しましょう。

そうすることで、冒頭でお話ししました、治療のために通ってその度に嫌な経験をする、
という辛いサイクルから抜け出すことができます。

図で描くと…

メインテナンスグラフ

たとえ、来院のきっかけは痛みなどのトラブルだとしても、それを治療(オレンジ矢印)した後は、
再び悪くならないようにするために、

  • 毎日のセルフケア(緑矢印)
  • 定期的にクリニックで行うメンテナンス(緑矢印)

を継続して、いつも病気にならないお口を維持(メンテナンス)しましょう。

 

お口の健康は、自分一人で維持するのではなく、
クリニックと2人3脚で守っていく、そう考えてください。

たとえご自身の歯磨きがあまり十分にできなくても、
3ヶ月位に1回のメンテナンスを続けていれば、
ひどい虫歯や歯周病で困るということは、随分と防ぐことができます。

 

メンテナンスの有無で、
人生が、特に人生の後半が変わるといっても、言い過ぎではありません。

どの年代の方も、今まだその習慣がない方は、
いつものかかりつけの歯科医院さんにすぐに電話して、予約してください。笑

この習慣で、本当に人生が変わりますから!

 

先進国の中でも、日本はメンテナンスの習慣が定着していないと言われています。
自分の体を、自分の習慣で守りましょう。

メンテナンスがないと…

ちなみに、
「いや、そんなのめんどくさいし、治せばまた元通りになるんだから、悪くなった時に治療すればいい。」
という考えはかなり危険です。

メインテナンスグラフ

図の下の赤い矢印が、その流れです。

再発する度に治療しても、元と同じレベルまで引きあがりません。

なぜなら、歯や骨は、基本的には自然治癒によって元通りに回復することがないため、
治療という「修理、補修」をする度に、元の機能を失っていくからです。

 

治しているように見えても、それは人工物を使った「補修」に過ぎず、
治療のたびに歯の状況は悪くなっていきます。

その行く先は、将来、歯を失うことになります。
どれだけ精密な治療で最高の治療をしても、自分の体には到底かないません。

 

「今はインプラントがあるじゃないか!それで歯が復活するんだからいいんじゃない?」

というのも危険です。
確かに、インプラントで歯を増やすことはできます。

しかし、インプラントは自分の歯よりも細菌に対する抵抗性が弱いことは否めず、
”インプラントの歯周病”=インプラント周囲炎 に罹ってしまうこともあります。
その場合、最悪、インプラントを失ってしまいます。

将来の自分への投資

健康なお口のためには、長い時間で考えた場合、やはり自分の歯を守ることが、一番の近道です。
そして、一番楽です。

 

今の自分だけでなく、いつも、この先の自分も、今のように食べたいものを食べ、
口に苦痛がない状態でいられるために、普段から頑張ってくれているお口を、
たまにはいたわってあげよう。

と考えてみてはいかがでしょうか?

 

健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を伸ばすために、
お口のメンテナンスはとても重要です。

自分の歯で噛んでご飯が食べれるということは、食べ物に偏りが出にくくなり、
栄養摂取の面で大きな影響を出します。
そのほか脳への刺激として効果大です。

 

日本は健康寿命と平均寿命の差、
つまり、健康上の理由で日常生活が制限されている期間が、

男性:9年
女性:12年 (平成25年)

と諸外国の7−8年と比較して長いです。

ズバリ言うと、例えば、最後の時を迎えるまでの寝たきりの時間が長い、ということです。

それを防ぐためには、歯があること、
そのためには、今からの継続したメンテナンスが、とても大切なのです。

 

人生の後半で後悔をしてほしくないと思います。

PRESIDENT Online で「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20として、
調査結果第1位に歯科検診のことを挙げています。

 

また、経済的な視点でも、悪くなる度に治療をするよりも、
3ヶ月に1回メンテナンスを行ったほうが、
お口に関して生涯使うお金も少ないと言われています。

 

メンテナンスを共にしていくためのクリニック選び

  • セルフケアの方法を親身になって一緒に練習してくれる
  • 通り一遍の方法だけではなく、一人ひとりの生活習慣、癖などを考慮してアドバイスしてくれる
  • あまりに短時間(5分や10分)のクリーニングで終了しない
  • できれば担当制の歯科衛生士さんがメンテナンスを担当してくれる(Dr. が同じように担当してくれるのもありかと思います)
  • メンテナンス時、Dr. がお口の診査をする
  • セルフケアの状況について説明してくれたりして、毎回セルフケアのレベルが上がるように考えてくれている
  • お口の中の写真を撮って記録、管理している

などが考えられます。

ご自身の体を守るための、最大のサポートをしてくれる歯科医院選びは大切です。

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今日も長文を読んでくださって、ありがとうございました。
お疲れ様でした。

私の予防歯科への意識を強くした一つの出来事に、
山形県酒田市、日吉歯科医院・理事長、熊谷崇先生との出会いがあります。

熊谷先生に関しては、
NHK プロフェッショナル仕事の流儀(2014.10.27.)
TV TOKYO カンブリア宮殿(2016.1.28.)

でご覧になって、ご存知の方も増えたかと思います。

日本における予防歯科のトップリーダーで、医院内で歯科医師向けセミナーを開催したりと、
予防歯科の実施と普及に取り組んでいらっしゃる先生です。

 

私が、出会いなんていうのはおこがましいですが、

私が新潟大学大学院生時代に、医局(補綴学)の教授が、
年に1回、歯学部3年生対象の特別講義として、熊谷先生をお招きしていたために、
私は大学院在学中に毎年、熊谷先生の講義を聴講させていただくことができました。

そして、大学院最後の年の講義後に、熊谷先生に質問したいことがあった私は、
熊谷先生と直接お話をさせていただきました。

すると、熊谷先生は、

「きみ、来月のセミナーはもう定員だが、いいから受けに来なさい。」

と、お言葉をいただき、日吉歯科でのセミナー受講・医院見学をさせていただくことができました。

この時の熊谷先生のビシッと私の目をまっすぐ見る目は、なぜか今でもはっきり覚えています。
これだー!と心打たれたんだと思います。

そして、講義・医院見学はその後の、東京での予防型歯科医院勤務のベースにもなりました。

 

偉大な大先輩の先生とお話させていただくと、とても刺激を受けます。
その後の歯科医師としての自分に、大きな影響を与え続けますね。

セミナーなどでの出会いは、そこでしか得られないものがたくさんあります。

これからも皆さんのお口を守るために、自分に正直に、真面目に臨床に取り組みたいと思います。

 

皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、残す」藤井歯科医院