歯周病治療|ポケットの中の歯石を取り除く。

こんにちは。

気づかないうちに進行し、症状を感じた時には歯を支えている骨まで溶けてしまっていることもある歯周病。

歯周病治療を受ける方の多くが、普段は自覚症状を感じておらず、歯科医院を別の理由で受診して、
その時に行う歯周病検査でみつかっています。

成人の80%がかかっていると言われる歯周病、今日はその進行に大きく関わる「歯石」についてのお話です。

歯石ってなに?

歯石とは、大雑把には、

細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が、唾液などに含まれるカルシウムを取り込んで、硬くなったもの。

歯石形成

です。

硬くなった細菌のかたまり

ということですね。

ちなみに、歯垢(プラーク)は、2日間で約50%が固まり始めて歯石になると言われています。
1日歯磨きをしなかったらすぐに硬くなり始めて、歯磨きでは取れない歯石になってしまうのですね。

この観点からも、「毎日歯磨きをしましょう」と言われるのは納得ですね。

歯石は2種類

  1. 歯肉縁上歯石(歯ぐきの上にあって見えている)「しにく えんじょう しせき」
  2. 歯肉縁下歯石(歯ぐきの中にあって見えない) 「しにく えんか しせき」

縁上縁下

歯周病で、悪さをするのは、
主に、歯ぐきの中の根の表面にこびりついている歯石=歯肉縁下歯石です。

1.歯肉縁上歯石
歯の間にみえる、白いかたまりが歯肉縁上歯石です。

歯の間にみえる、白いかたまりが歯肉縁上歯石です。

青い丸の中、歯の間に見えるのが歯肉縁上歯石です。
もともと、歯ブラシが当たりにくい歯の間に歯垢が残り、それが硬くなってできます。

患者さまがご自身でお感じになる、
「歯がざらざらしてきたから、定期的に取りたくなる歯石」は、主にこの歯肉縁上歯石です。

2.歯肉縁下歯石

拡大1

わかりにいですが、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットの中に、ボツボツして見えるのが歯肉縁下歯石です。

 

別の患者さまの、根っこの表面から取った歯石がこちら。

目盛りは1mm

目盛りは1mm

この歯石の大きさは、1×2 mm くらいです。

先ほどの歯肉縁上歯石と違って、黒いですね。
この黒さは、傷んだ歯ぐきからの出血による色です。

表面の質感はボコボコしていて、いかにも悪者そうです。

縁下歯石はとても硬く、歯にも硬くこびりついています。
もちろん歯ブラシでは取れません。

実際にこの歯石が付いていた場所は、

縁下歯石

外からは見えないポケットの中にありました。

ここには歯ブラシは届きません。
仮に歯ブラシが届いても、硬いので取ることはできません。

実際には、たくさん付いていた歯肉縁下歯石を細かく砕きながら取ったものの一部が、先ほどの写真です。

歯周病の進行

ポケットの中では、このボコボコの歯石の表面にさらにバイ菌がまとわりついて、増殖していきます。

目盛りは1mm

歯ぐきからしたら、ずっとバイ菌と一緒にいることを強いられているのですから、
たまったものじゃないですね。

 

その状態が長く続けば、歯ぐきの腫れなどの炎症は強くなり、
その後、歯を支えている骨が溶けて無くなってしまいます。
歯周病の進行です。

ペリオ進行

そして、骨の支えの無くなった歯はグラグラし始め、日常生活に支障が出始めます。

ここにきてやっと自覚するようになり、歯周病が発覚する、というわけです。

歯石が付き始めた頃に自覚症状があれば、おおごとにならずにすむのでしょうが、
骨が溶けてからしか気づかないところが、歯周病の怖いところですね。

 

ここまで進んでからでも、歯石を取りセルフケアを十分に行えるようにすれば、歯周病は治すことができます。
しかし、すでに溶けて無くなってしまった骨は、基本的には元通りに戻ることはありません。

 

歯周病は進行してしまうと、後戻りできない病気です。
しかも、初期には自覚できません。

歯周病にかかってしまう前に予防しましょう、と言われるのは、このためですね。

歯周病治療・予防

治療も予防も、原則はひとつ、

「歯周病の原因になる細菌を、なくすこと。(なくし続けること。)」

です。

 

具体的には、

  1. 今付いてしまっている歯石は取り、毎日のセルフケアを確立する。
  2. 予防のためには、セルフケアと定期的なプロフェッショナルケアでメンテナンスする。

セルフケアについては、「予防歯科(歯の間のセルフケア編)
定期的なケアについては、「予防歯科(メンテナンス編)
もご覧ください。

 

かかってしまった後に悲しまないように、歯周病を予防しましょう。

歯周病と全身疾患との関わりも、続々と報告されています。

しばらく歯科医院を受診していない方は、一度歯周病検査を受けてみてはいかがでしょうか。
数年先の未来の楽しい人生のために、必ず役立つはずです。

 


梅雨入り宣言が始まりましたね。
ここまで暑かった日も、ひと段落。
体調管理に気をつけましょう。

 

皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院