根管治療が長持ちするポイントは治療中の感染防止。基本を守れば長持ちする。

このブログをご覧になっている方の中には、

過去に受けた根管治療でお悩みの方や、これから根管治療を受ける予定の方もいらっしゃるかもしれません。

今回の内容は、

  • 深い虫歯があり神経を取ったが、痛みが続いて困っている
  • 痛みを繰り返し、何度も根管治療をやり直して困っている
  • 繰り返す根管治療の末、抜歯した歯があるが、他の歯で同じことを繰り返したくない

そんな不安を解消できるかもしれません。

ご自身の歯を守るための大切な治療内容について書きました。
ぜひご覧ください。

根管治療を繰り返す最大の原因

根管治療を繰り返す状況は、大きく分けて2種類あります。

それぞれの状況で浮かぶ疑問は、次のようなものではないでしょうか。

  1. 初めて神経をとった後に痛みが続く場合
    →神経を取り残しているのだろうか?
  2. 神経を取る治療が完了している歯が痛くなったため、再度治療を受けたが、痛みが取れない場合
    →既に神経が無いのに、なぜ痛いのだろう?

2つの状況はもともと痛くなった組織やその理由が異なるため、詳細に説明すると複雑になってしまいますので、大事な部分だけに絞ってお話しします。

歯の内部。茶色のものは、細菌や細菌が付着した接着剤

どちらの状況も繰り返す原因は、歯の中に住み着いた「細菌」です。

細菌が住み着いてしまった原因は、

  • 虫歯菌を歯の中に取り残したこと
  • 治療中に、口腔内の細菌を歯の中に巻き込んだこと

の2つです。


ちなみに、神経を取り残しても、治療中に歯の中に細菌を巻き込まなければ、痛みはほとんど出ません。

また、虫歯が神経の中まで深く進行していたとしても、それを取り除くのが治療なので、ちゃんと治療すれば虫歯菌が神経の中に残ることもほぼ発生しません。


最も大切なことは、
治療中、歯の中に細菌を巻き込まないことです。


これは、いつもお話ししている外科処置である歯科の基本です。
こちら(「削る量が増えてしまうセラミック治療、成功のための2つのポイント(前編)」)で、外科処置の基本について書いています。
よろしければご覧ください。

根管治療中に、歯の中に細菌を巻き込まないために必要なことは、3つです。

  1. ラバーダム防湿法
  2. 隔壁
  3. 清潔な器具の扱い

順に解説します。

1.ラバーダム防湿法

治療前:ゴールドの被せ物が入っています。

被せ物を外すと、

金属製の土台が入っています。それも外します。

歯の中は茶色のものがたくさん。
全て長い年月をかけて細菌が増殖したものです。

外した金属や接着剤も、細菌に汚染されています。

通常は被せ物や土台を外す前、初めにラバーダムを設置します。
今回は残っている歯の量が少ない可能性が高かったため、ラバーダムを安定して固定するための方法を決める目的で、この段階でラバーダムを設置しました。

青いシートが歯ぐきや舌をカバーしています。

これで治療中に唾液が歯の中に入ることを防ぎ、細菌の巻き込みを防止することができます。

また、細菌の侵入は、唾液からだけではなく、唇や頬、舌の粘膜からも起こります。

ラバーダム防湿はそれらも防いでくれます。

周りの粘膜からの汚染については、こちら(「唾液を防ぐだけじゃない、ラバーダムの大切な2つの役割」)で詳細を書いています。

2.隔壁

ラバーダムを設置した後、

虫歯を削ります。

残っている健康な歯が低くなりました。

このままでは、

  • 歯の中に薬液を満たせない
  • 仮の蓋を入れる深さが取れない
  • 仮歯が取れやすい

などの問題があります。

それらを解決するのが、

「隔壁(かくへき)」という人工的に壁を作る処置です。

主にプラスチックで作ります。
プラスチックの処置は、ラバーダム防湿による完全に乾いた環境のもとでこそ成功しますので、ここでもラバーダム防湿の役割が発揮されています。

隔壁により壁の高さが出たために、先ほどの問題点が解消されます。

例えば、筒状になっているために、歯の中を消毒する薬液を満たすことができます。

この日は、根管内の感染物をマイクロスコープで見ながら除去し、消毒してから、

内部に消毒薬(白いクリーム)を入れ、

その後、

蓋をして、さらに全体の形を整えました。

この後、ここに仮歯が入り、終了です。

3.清潔な器具の扱い

2つ目まではラバーダム、隔壁と、わかりやすいモノを用いた処置でしたが、3つ目は形で表現できない歯科医師の動きそのものです。

「清潔であるべき部分を、不潔な器具で触らない」といった当たり前のことなのですが、想像以上のレベルが求められるのが現状かもしれません。

例えば、神経を取った根管内部の出入りを許されるのは、滅菌された清潔な器具と薬液のみです。

滅菌された器具の先端をグローブで触れたら、グローブ表面の細菌が器具先端に付着するため、その器具は汚染されたものとみなし、根管内に入れることはできません。

現実的には、ラバーダム防湿なしで行う根管治療では、理想の清潔レベルを保つことはほぼ不可能です。

ラバーダム防湿を行っていたとしても、ちょっとした操作によって手や器具の先端はすぐに汚染されてしまいます。

  • 器具を汚染させないためのシステム構築
  • 汚染させない行動パターンの定着
  • 汚染された場合には、その器具を除外したり破棄するなどの判断をする

が必要です。

歯科は相手が見えない細菌なので、関わる歯科医療従事者全員が、常にその存在をイメージして行動することが、とても重要です。

まとめ

根管治療を繰り返さないためには、再発の原因である細菌を、歯の中に巻き込まないことが絶対条件です。

そのためには、根管治療の基本をしっかり抑える必要があります。

その基本とは、

  1. ラバーダム防湿法
  2. 隔壁
  3. 清潔な器具の扱い

です。

どれも歯科治療全般の基本に通じるものですが、対象である細菌がとても小さく見えないために、その基本を完璧にこなさないと再発につながってしまいます。

前回のブログで書きましたが、基本を常に精度高く行うことは、「基本だから簡単」ではなく、実は難しいことです。

しかし、それができれば、かなり良い成績の医療を安定して提供できます。


基本を守った医療がもっと行われていれば、歯科疾患は飛躍的に減るはずです。

患者様には、そのような医療を選んでいただきたいと思います。

少しでもそのサポートになればと思い、歯科医療の本来の姿を知っていただく目的で、当ブログを書いています。

永久歯が生えてから引き算で変化していくお口の健康に関しては、いかに、元の健康な歯が残っているうちに、適切な予防と治療を受けるかがとても重要です。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように

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