歯科医院の独立開業(2018年6月)について(前編)
今回は、私が歯科医院を開業するに至る経緯、勤務医時代に考えていたことを書こうと思います。
後編では、実際に開業した歯科医院について書く予定です。
開業までの経緯
私は、2007年に新潟大学大学院を卒業してから、2018年までの約11年間、東京と名古屋で勤務医をしていました。
おそらく、多くの歯科医師が、開業までの勤務医生活の中で自分のやりたいスタイルが見えてきて、だんだんと「独立したい。独立したらそれを最大限具現化できそうだ!」と、開業へのイメージが固まっていくのかと思います。
実は私は元々、開業の意欲は周りの先生ほど強くありませんでしたが、結果的には、勤務医として過ごしていくなかで、独立開業したいと思うようになっていきました。
勤務医時代の過ごし方
大学院を卒業して、都内で初めて勤務医になる時(28歳)、そこから歩みたい成長ステップを大雑把にですがイメージしていました。
初めの3−5年間(〜31ー33歳):
住宅街に位置する歯科医院で、全ての年齢層の、全ての治療内容について、高いレベルで対応できるようになる。
次の3−4年間(〜34ー37歳):
都心部の自由診療メインの歯科医院で、質を追求する。
治療内容は狭めてもよいし、オールラウンダーでもよい、それまでの経緯により柔軟に。
その後のことは…
その時の自分が最適な選択をするはず、と、成り行きに任せるつもりで頭の片隅に持ち続けていました。
その後、興味のあることを追求したり、いただいた出逢いを重ねながら、東京での勤務医時代をイメージしていたよりも充実して過ごさせていただきました。
実際に、住宅街の歯科医院で7年間、後半は分院長をさせていただきながら過ごし、それと同時に、休みの日は自由診療専門歯科医院で研修させていただく生活を送りました。
28−37歳の東京での生活は、私の地盤が作られた大切な時期なのだと思っています。
勤務医時代にはっきりしてきた歯科医療に対する思い
勤務医時代に芽生えてきた、私にとって大切な思いが3つあります。
- 説明や相談の時間を十分に取り、患者さんが安心納得した上で治療ステップに進むことを絶対ルールにしたい。
質の高い治療はもちろん大事だが、その前に、主人公である患者さんが納得し安心した心で、歯科医院での時間を過ごす必要がある。
それは順番として当たり前のことであるにもかかわらず、それを受けられていないことを悲しんでいる患者さんに出会うことも多い。
自分のやり方は大学院時代から、「十分な説明の後に、患者さんが納得して、初めて治療が始まる」スタイルが定着している。
それはこれからも崩さない。 - 治療は、基本や原理原則がとても大事で、それを確実に抑えることに強くこだわりたい。
基本や原理原則を確実に抑えれば、基本的には綺麗に治るし、長持ちする。
スペシャルテクニックや華やかな技術もできた方がいいが、その前には絶対に基本が必要である。
しかし、基本を確実に守ることこそ、実は簡単なことではない。
執着心とも言えるほどのこだわりを持って、やっと基本を抑えることができる。
それは、質の高い治療の初めの一歩である。
それができたとき、初めて華やかな技術も扱えるようになる。 - まずは病気にならない体作りが一番大事であり、そのためには、栄養学は医療の基礎に置くべきではないか。
人生の幸福度を高めるための大前提に、「健康な体と心を持っている」ことがあると思っている。
健康な体があれば、やりたいことをやりたい時にできる(可能性が増える)。
病気を理由にそれができないないことは、できれば避けたい。
そもそも病気にならなければ、治療は必要ない。
我々は、病気になってからその治療のために病院にかかることに、もう少し違和感を感じてもいいのではないか。
予防医学の基礎的アプローチとしての栄養学によって、私たちが本来備えているはずの様々な機能を十分に発揮できるようにすれば、病気や不調は減り、より充実した時間を過ごせる。
独立開業の決意
自分がこの3つに強くこだわっていることに気付いてからは、それを実現できる自分の場所が必要だとの気持ちがはっきりし、独立開業を決意しました。
そして、独立するからには、自分が自分らしく快適に過ごす場所にしたいと思いました。
それは自分にとっては、見通しの良い軽快な場所にすること、でもあります。
本当にありたい姿、やりたいことを、些細な理由をつけて簡単に諦めない。
やりたいことはやればいいし、その積み重ねで人生は充実したものになる。
共に働くスタッフに対しても、そうであってほしいし、私との関係性もお互いを尊重したクリアなものにしたいと考えていました。
そこで、それまでやってきた1−3と、開業にあたり決めた4つ目を合わせた、以下の4つをコアに、医院を作ることにしました。
- 患者さんの納得・満足のために、十分なコミュニケーションや説明の時間を確保する。
- 質を追求する。やることは正しくやりきる。
- 分子整合栄養医学により、病気にならない体作りを扱う。
- 見通しのいい軽快な空気の医院にする。
気付けば40歳での開業になり、周りよりも遅めの開業になっていましたが、自分にはこのタイミングがベストタイミングでした。
開業が遅いなりに、医学的なことのみでなく、その他さまざまなことを経験してから、開業できたことは良かったと振り返れます。
次回は、開業した実際の医院の紹介を書こうと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE
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