削る量が増えてしまうセラミック治療、成功のための2つのポイント(後編)

前回から、セラミック治療のデメリットの一つ「歯を削る量が多くなる」について、

2つの原則を守れば問題にならないことを、お伝えしています。

原則とは、

  1. 清潔な環境で治療を行う
  2. 歯を削る量は、必要最小限にする

です。

前回のまとめ

前編では、原則1.「清潔な環境で治療を行う」を解説しました。

ポイントは、唾液や粘膜からの細菌感染の防止でした。

そのためには、

  • ラバーダム防湿を行うこと
  • ラバーダム防湿の後、治療領域をクリーニングすること

が大切です。

今回、後編では原則2.「歯を削る量は、必要最小限にする」についてお伝えします。

セラミックの特性上、金属よりも削る量は多くなる

セラミックは金属と違って薄いと割れてしまうため、厚さ確保のために歯を削る量が増えるのは、やむを得ないことです。

セラミックが割れないために必要な厚さは、例えば奥歯なら、最低1.5mmです。

これは金属治療に比べると、約0.5mm多いです。

実際には1.5mm以上必要なこともあるため、金属治療との差は歯のスケールからすると、大きなものになります。

この量を確実に守りながらも、歯へのダメージを最小限にする必要があるわけです。

実際の削る量の調整は、0.2mmや0.3mm位ずつ行うことになります。

しかし、狭いお口の中で0.数ミリ単位を確実に把握しながら削るのは、簡単なことではありません。

そのため、感覚に頼るのではなく、削る量を厳密に把握する方法を用いて歯を削ります。

意外と大事な歯科医師の心理

ここで、具体的な方法の解説の前に、治療に影響を及ぼす歯科医師の心理状態のお話をします。


セラミック治療に関わらず歯を削る時には、おそらく全ての歯科医師は、

「削る量を最低限にとどめたい」
「できるだけ神経に負担をかけたくない」

という思いで削っています。

もちろん、その「最低限」の調整は、0.数ミリの中で正確に行われる必要があります。

ほとんどの先生が、このシビアな状況のもと、

  • お口を開けてもらう時間をなるべく短くしたい
  • 適正量は削らなければいけない
  • でも削る量をなるべく抑えたい

という葛藤を感じていると思います。
そんな状況でも、冷静に迷わず確実に、かつ安全に治療を行う必要があるわけです。

もしも、このような葛藤の中で「なんとなくの感覚」を優先して処置を進めてしまうと、余計に時間がかかったり、削る量が足りないことも起こり得ます。(削りすぎは起こりにくいです。)

削り足らなければ、セラミックが薄くなり、割れやすくなってしまいます。

そのため、心理状態が影響しやすい処置ほど、効率的に安全に進めるためには、感覚に頼らず客観的に判断できる方法が必要です。

削る量を客観的に判断する方法

具体的な話に戻ります。

効率的に、安全に進めるには、

  • 削り終えた最終形がイメージできていること
  • 最終形に対して、今の状態を把握できていること

が必要です。
そのために、最終形の目安になるもの↓を使います。

ピンク色のものは、セラミックの最終形を表す型枠です。

歯を削った空洞の深さ = セラミックの厚さ

です。
この深さが1.5mm以上になるように少しずつ削り足します。

この方法で進めれば、最終形に対し今まで削った量を客観的に把握できるので、精密に、安全に歯を削ることができます。

↑では厚さが足りないので、最低限の必要量を削り足します。

空洞が深くなりました。

これで、削り足す量を最低限にとどめて、セラミックの厚みを確保できました。

このように、

  • 原則1:清潔が確保されたラバーダム環境の下で
  • 原則2:型枠を使うことによって削る量を必要最小限にし、ダメージを最低限に抑えて

削り終えます。

Information

*詳細に知りたい方と、同業者の方へ
形成量は、IDSの厚さ分と裂溝分を含んだ量で決まるため、厳密には、削除量=セラミックの厚さではありません。

今回はわかりやすくするために、便宜的にイコールにしています。

写真の症例では、最深部クリアランス: 約2.5mm ー IDSの厚さ: 0.5mm ー 裂溝の深さ: 0.5mm = 修復物の厚さ: 1.5mmです。

まとめ

今回、後編ではセラミック治療で守るべき2つの原則のうち、

原則2.「歯を削る量は、必要最小限にする」

について、具体的な方法を解説しました。


削る量を正確に、客観的に判断するためには、型枠を基準にしながら削ります。
そうすることで、歯が受けるダメージを最小限にすることができます。

この原則2.は、原則1.「清潔な環境で治療する」と合わせることによって、セラミック治療で削る量が多くなっても、歯の健康に影響なく治療を終えることができます。


当院でのセラミック治療は、ラバーダム環境の下、最低限の削る量で行うため、治療後の不快症状はほとんどないか、あっても最低限、短期間で消えています。


基本原則を厳密に守れば、歯科治療は成功し長持ちします。

ただし、基本原則を完全に厳密に守るためには、幅広い知識やさまざまな準備、トレーニングが必要です。


また、このような治療は、30分などの短時間で行うことはできません。
当院では2時間の予約枠で、生涯ご自分の歯を守るための必要な治療内容を行っています。

補足

セラミックが割れないために必要なことは、こちら(「セラミックが欠けてしまわないために必要なこと【厚さ】」)に解説しましたので、ご覧ください。

そちらと今回の記事によって、【歯にダメージが少なくて、かつ割れないセラミック】について、2つの目線↓に分けて、解説したことになります。

両方読んでいただくことで、理解が深まると思います。
よろしければご覧ください。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように

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