「噛み合わせの調整」について(前編)

こんにちは。

今回と次回の2回で、お口の安定のためにとても大事な、噛み合わせについてのお話です。

ある患者さまの経過を交えてのお話です。

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image by Maggie The Dentist ::: Tender little care / mac_filko

 

噛み合わせの調整と聞いて、どんな処置を想像しますか?

紙を噛んで、カチカチやって、ガタガタ削る。

みたいな感じでしょうか。

今日はまず、ある患者さんのエピソードから始まりです。

むし歯治療を受けただけ、のはずが…

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image by cry baby / 71508688@N00

 

Aさんは、あるクリニックで奥歯1本のむし歯治療を受けました。

むし歯を削って型取りをし、翌週新しい金属の詰め物をセットしたのですが、
詰め物が少し低い感じがしたので、その場で先生にお伝えしました。

すると、他のむし歯になっていない、自分の健康な歯を削って低くして、
Aさんが低いと訴えた歯に近づけようとしてくれたとのこと。

 

それでも噛み合わせに違和感を感じたので、その旨を伝えると、
さらに他の歯を削り、その日は終了。

 

それ以来、噛み合わせの感覚に違和感が残ったため、何度か受診します。
その度に先生に相談し、先生もAさんの話を聞いてくださいます。
さらに他の歯を削り調整を受けましたが、違和感は消えません。

 

しかし、受診を繰り返すうちに、Aさんはだんだん煙たがられるような仕草を感じだし、
行きにくくなってしまったとのこと。
その時点では、噛み合わせの違和感はまだ残ったままでした。
(先生は、顎咬合学会かみあわせ認定医。泣)

この頃に、当院を受診なさいました。

噛み合わせの調整

噛み合わせの調整は、大雑把に言うと、
お口全体の歯でバランス良く力がかかるようにするために行います。

ですので、

 

治療対象の歯が、

全体(基準)に対して、

高過ぎれば低くし、
低過ぎれば高くする

 

というシンプルな理屈です。

 

この時、顎関節との関係性を考慮しながら考えますが、
特に、前後・左右方向への噛み合わせのズレを治療する場合には、
顎関節への考慮がより大切になります。

 

そしてもしも、基準を全体的に低くする必要が本当にあるなら、他の歯も削り、
全体的に低くしながらバランスを取ることもあるでしょう。

基準の設定の仕方によっては、健康な歯を削る事も、あるシチュエーションによっては起こると思います。

 

また、
低くするのは、削ったり、作り直すことで、
高くするのは樹脂を盛り足したり、金属やセラミックスを作り直すことで、行います。

Aさんの場合

歯並びは人それぞれ違います。
歯の位置が違えば、噛み合わせもそれぞれです。

噛み合わせを触ることについて、リスクが高いお口と、そうでもないお口があります。

 

Aさんは上下の歯並びが元々少し乱れているために、
上下の歯が噛み合わさっているコンタクトポイント数が、とても少ないお口。

全体で噛み合っていないために、噛み合わせがとても不安定になりやすいお口です。

1対の上下の歯で作られる噛み合わせの役割がとても大きく、
それを触ることのリスクがとても高いパターンです。

 

なおかつ、数少ない噛み合っている歯の表面は、Aさんが長年使った事によってすり減り、
そのすり減った歯の形は、顎の関節の動きととてもよく協調して機能しています。

不安定な状態ながら、顎の関節と歯の形がとてもよく馴染んでいて、
バランスが取れています。

長年かけてすり減った形を、人工的に再現するのはとても難しく、
できれば生涯その形は失わないようにしたいものです。

この綱渡り的バランスを絶対に崩したくないお口です。

 

また、全体に低くする必要は特には見当たらないと私は判断しました。
もしも全体に低くするなら、初めからプランに入れることでしょう。

その場合は、矯正治療の役割も大きく出てくるはずです。

 

様々な歯並び、噛み合わせの患者様がいらっしゃる中で、
Aさんは、噛み合わせには特に気をつけるべきお口です。

 

なので、治療による介入のレベルを、単純な虫歯治療の範囲にとどめて、
新しい詰め物を入れるならば、

 

健康な歯が作る噛み合わせを基準にして、新しい詰め物を入れる

 

ことが、Aさんにとっては必要なやり方かと、私は考えます。

単純に、むし歯治療を最小限の処置で精密にしっかりやる、ということです。

 

そして、もしも、そんなAさんの被せ物が低いのならば、
作り直して高さを戻す以外に、選択肢はないと思います。

 

最終研磨で低くなりすぎることも、人間の仕事ですからありえると私は思います。
それが、たくさんあってはいけませんし、限りなくゼロにする努力は続けたいものです。

でも、そのわずかな数に当たってしまった患者さまには大変申し訳ないのですが、
再度作り直しをする必要が有る旨の説明をし、作り直すのがベストかと思います。

 

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長くなってきましたので、今日はここまでにします。
お疲れ様でした。

今日は、

  • Aさんが受けた治療
  • 噛み合わせの調整とは何なのか
  • Aさんのお口の特徴(特に噛み合わせに慎重になるべきお口)

についてお話しました。

 

次回は、当院でのAさんの治療と、噛み合わせの調整の大切なポイントについて、
お話します。

 

ここまでお読みいただき、お疲れ様でした。

北風が強く、乾燥注意報も出ているようです。
風邪などに気をつけましょう。

 

 

皆さまが快適なお口と共に、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

 

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名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
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「大切な歯をできるだけ削らない、残す」藤井歯科医院