神経が死んでしまった歯の治療

以前にむし歯治療を受けた歯の神経が、その後で死んでしまったようです。

神経が死んだ後、歯の中では細菌が増殖します。
その結果、根の先端の骨では炎症が起こり、骨が溶けてしまいます。

 

この炎症は、はっきりした自覚症状のないままにゆっくりと進行することが多いです。

時間が経てば、事態は複雑になり、治療も予後も複雑になりやすいので、
できれば早い段階での治療が望ましいです。

 

この場合の治療は、
1.入っている詰め物を外して、その下にむし歯があれば綺麗にする
2.歯の中の細菌を綺麗にするための下準備(隔壁)
3.歯の中の細菌を綺麗にする(根管治療)
4.歯の強度を補強、形を復元する。

を行います。
このブログでは、1と2についてご紹介します。

まず、

入っていた詰め物を、仮歯に置き換えておきます。

もともと入っていた詰め物が歯に合っておらず、そのために歯ぐきが歯周病にかかっていました。
そのままでは、その後の治療に悪影響を及ぼします。

 

そこで、歯にぴったり合った仮歯に置き換えることで、歯ぐきの健康を作っておきます。
そして、仮歯に置き換えた翌週、歯の中の治療を開始します。

こうすることで、歯ぐきから出血するとこなく、綺麗に処置を進めることができます。

詰め物の下には、以前の治療時の、神経を保護するための詰め物が入っていました(白い物)。
外してみます。

白い詰め物を外すと、茶色い歯が出てきました。
むし歯です。

むし歯を取り残さないように、

むし歯だけを染める、う蝕検知液をつけて、青くなった歯だけを削ります。
たくさん削ると歯の強度が落ち、将来、歯が割れることにつながるためです。

むし歯を全て取り切ると、

むし歯がなくなり、綺麗な歯だけになりました。

 

しかし、このまま根管治療を始めると、

歯ぐきから歯の中に、唾液や血液が入ってしまうかもしれません。

唾液や血液の中には、細菌がたくさん含まれています。
歯の中を綺麗にするのに、治療中に細菌が入り込んでしまっては、本末転倒です。

 

そこで、

樹脂で人工の歯の壁を作り、外から流れ込まないようにします。
これを隔壁(かくへき)と言います。

隔壁は、
・次の治療までの期間に、日常生活の中で細菌が入ってしまわないためにも、
・根管治療の時に、ラバーダムをつけるためにも、
必要なものです。

 

ここまでで、

1.入っている詰め物を外して、その下にむし歯があれば綺麗にする
2.歯の中の細菌を綺麗にするための下準備(隔壁)
3.歯の中の細菌を綺麗にする(根管治療)
4.歯の強度を補強、形を復元する

の、2までが終わりです。

 

次は、3.根管治療です。
上の写真の白い蓋を外して、根管治療を行います。

 

神経が死んだ歯の根管治療はもちろん大切ですが、
このように、その前のステップもとても大切です。

 

1.でむし歯を取り残していたり、
2.を行わないで根管治療を行えば、

細菌が歯の中に入りながら、根管治療を行うことになってしまう可能性もあります。
その結果、なかなか痛みが引かなかったり、将来の再発につながる可能性が高くなります。

 

基本を大切に、コツコツと積み上げてこそ、長持ちする精密な治療ということですね。
これからも、精密で丁寧な治療をできるよう、知識、技術ともに研鑽を積みます。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
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