歯周ポケットの中の歯石

こんにちは。

今日は、歯周病、とくに歯周ポケット内の歯石のお話です。

「歯周病」や、「歯周ポケット」、「歯石」という言葉は聞いたことがあっても、
それらがお口の中にあるのを見たことはありますか?

今日は写真でその様子を見ていただきたいと思います。

リスク部位

左下奥歯

写真はある患者さまの左下の奥歯です。
歯磨きがお上手な方で、全体的に綺麗になさっています。

しかし、一ヶ所だけ、歯磨きがしにくいために汚れを取り残しがちで、歯石が付いていた部分がありました。

どこだかわかりますか?

歯磨きしにくい部位

黄色の部分です。

ここは誰でも、ほっぺたの粘膜と歯がとても近く、人によってはほっぺたがいつも歯に乗っていることもあります。
そのために、汚れが両者に挟まれ続け、細菌が滞りやすい場所です。

さらに、頬の中の筋肉の膨らみによって、ほっぺたが口の内側にせり出してきて、
歯磨きのとき歯ブラシが入るスペースが狭くなり、毛先がうまく当てにくい場所です。

このような部分のことを、「リスク部位」と言います。
一人ひとり違うリスク部位を、ご自身で知っていただき毎日ケアすることが、
歯周病予防ではとても大事です。

下の画像でもう少し解説です。

頬粘膜と歯の位置関係

青:ほっぺた
ピンク斜線:歯にのっているほっぺた
矢印の部分に歯ブラシを当てにくい。

ピンク斜線のほっぺたに触れ続けている歯は、いつも汚れと隣り合わせだったようです。

ここは唾液の流れが弱く、自浄作用が働きにくい場所ですから、むし歯と歯周病のリスク部位です。

要注意ですね。

歯周ポケットの中では・・・

そして、このほっぺたをよけて、歯周ポケット内を乾かして見たのが、この写真。

ポケット拡大

プツプツしたのが見えますか?

拡大してみます。

ポケット内歯石

歯周ポケットの中の、歯の表面に張り付いている歯石が見えます。

歯石は、細菌のすみかで、さらにその表面に新たな細菌が付着する足場にもなります。

この歯石と細菌のせいで、周りの歯ぐきは痛んでいました。

傷んだ歯ぐき

歯石の周りの歯ぐきは炎症反応を起こしています。

拡大視野の大切さ

この写真は、時間をかけて唾液を完全に排除し、乾燥状態にして撮っているので、歯石が写っていますが、
実際の診療中に、裸眼でさっと見たのでは絶対にこの歯石は見ることができません。

裸眼では、器具から伝わるザラザラした振動のみで判断するしかありません。
手探りで行う、想像の世界の治療です。

 

ポケット内は強拡大の拡大ルーペや、マイクロスコープでしか見ることはできません。

そして、拡大視野では、歯石を取った後も、本当に取れているかどうかを確認することができます。
時間はかかりますが、とても大事なことです。

「取れた感じがする」
のと、
「取れたことが確認できた」

は、別です。

リスク部位への対応

この日は、早速歯石を取って、
患者さまには、リスクの説明と歯磨きの話をしました。

患者さまに、リスク部位とその対応を知ってもらうことは、
歯周病を繰り返さないためにとても大事なことです。

ここからは、患者さまによるセルフケアを頑張っていただくことになりますが、
どうしても完全に綺麗にし続けるのは難しいです。

そのバックアップのために、メインテナンスはあります。
セルフケアとメインテナンスの二人三脚で、守っていく考え方です。

歯医者さんに行くと、歯磨き練習と3ヶ月後の受診の話をしつこくされるのは、このためなのです。

 

 

 

いかがでしたか?

歯石は、歯周ポケット内の歯に張り付いていて、静かに悪さを働いています。
ご自身の歯磨きだけでは取りきれませんので、一度ついてしまうと怖いですね。

もしも歯石が付いている場合は、一度しっかり取って、
あとは再びつかないように、メインテナンスを行うことで歯を守ることができます。

 

メインテナンスを続けることで、将来の健康を作りましょう。

全身の健康もお口の健康も、悪くなってから慌てるのではなく、
悪くならないようにコツコツと積み上げていくものですね。

 

当院では、自分の体を大切にしたい方のサポートを、最大限行わせていただきます。
健康な体と心で、大切な人生を楽しみましょう。

藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁