歯の間にできたむし歯のダイレクトボンディング
今日は歯の間にできたむし歯の、ダイレクトボンディング治療についてのお話です。
中が黒く透けて見えます。
むし歯の歯には、
ヒビが入っています。
歯の中でむし歯が大きくなることで表面の歯が薄くなり、強度が足りなくなった結果、入ったヒビです。
こうなると、二次的にできたヒビを入り口に、さらに細菌が中に入る可能性もあります。
また、ヒビがさらに広がれば、歯が欠けて穴が開いたり、割れる可能性も出てきてしまいます。
この状態で放置した結果、歯が欠けてその段階で初めて、むし歯に気付く事もあります。
では治療スタートです。
ラバーダムを設置します。
これは、治療する歯の周りに唾液がない環境を作ることで、
細菌を歯の中に巻き込まないようにする
唾液や汚染のない環境で、歯とレジンを確実に接着させる
ことを目的にした、ダイレクトボンディングでは必須のステップです。
ラバーダムをつけて口の中(唾液や口腔内常在菌)の環境と隔離したら、それまでついていた汚染物をできるだけ取り除くために、歯の表面のクリーニングをします。
歯の表面は、汚れが取れたのかが分かりにくいので、染色液をつけ、
洗い流すと、ところどころに色が残りました。
ここを特に重点的にクリーニングします。
クリーニングが終わったところです。
これでピカピカになりました。
歯を削る前に行うここまでの環境作りは、治療環境の整備として、とても大事なステップです。
まず銀歯を取り、
むし歯も全て取り除きます。
横から見ると、歯の間の歯は歯ぐきに近いところまで失ってしまいました。
ここから、咬み合わせと歯の間の失われた歯を、ダイレクトボンディングで復元します。
ダイレクトボンディングで歯に詰める材料は、レジンと呼ばれます。
レジンを歯に接着するには、守るべきステップが何段階もあります。
まずは、エナメル質の酸処理をします。
青いのは酸性のゼリーです。
以前はエナメル質だけに付ける必要があると言われていましたが、
最近はその中の象牙質にも短時間付け表面を処理した方がいい、という文献も出てきているので、
私は現時点では、象牙質も短時間の処理をしています。
隣の歯との間に見えるクリアのものは、酸性のゼリーが隣の歯を溶かしてしまわないようにするための保護用のフィルムです。
このあと青いゼリーを洗い流して、乾かしたら、
プライマー処理液を塗ります。
この次のステップで塗るレジンとの接着剤(ボンディング液)が、歯とくっつくための準備の液です。
プライマー処理液は、歯に塗ったら20秒間、歯の中でブラシを動かし続けます。
液が歯と十分に化学反応を起こすために、未反応の処理液を歯に行き届け続けるためです。
その後、弱〜中くらいの圧力で風をかけ、液を乾かします。
乾かす時に、一気に強い風で乾かしてはいけない、など、
材料が最大の機能を発揮するための、メーカー指定の決まりがあります。
このように各ステップを確実、丁寧に、厳密に決まり事を守って進めます。
患者様に良い治療結果をお渡しするために、とても大事なことです。
プライマー処理の後は、
ボンディング液を塗ります。
全ての内面に均等に、厚くなりすぎないように塗ります。
塗り終わったら優しく風をかけて、全体の厚みを均等にします。
その後、ボンディング液を固めるために、
青いLEDの光を当てます。
削った歯の穴は複雑に入り組んだ形をしていますが、全ての部分にLEDによる十分な化学反応を起こすために、さまざまな方向から規定の時間(10秒間)、LEDを当てます。
多い時は5方向くらいから、それぞれ10秒間当てます。
この時、LEDによって熱が発生するので、歯の温度が上がりすぎないように、気を付けながら行います。
ここまででレジンを歯につけるための、歯の表面処理は終わりです。
次に、
レジンを歯に詰めるための壁を作ります。
このステップは状況に応じて、さまざまな方法があります。
今回は、定番のクリアフィルムと、黄色のゴムを使う方法が一番綺麗にいい成績が出せると判断しました。
この後レジンで歯の形をつくり、
レジンと歯の境界も整え、磨き終わった状態です。
斜めから見た時には、
残せた健康な歯とレジンが、自然な曲面で移行していることを確認します。
この後、ラバーダムを外し、
噛み合わせ調整を終えました。
今回のむし歯は広い範囲に及び、むし歯の深い部分もありましたが、1回の治療回数で終えることができました。
患者様がこの日すぐにお食事できるのはいいですね。
ダイレクトボンディングは
- 治療回数は基本的に1回
- 最小限の削る量
でむし歯を治すことができます。
メリットの多い方法ですが、治療の質が担当歯科医師のやり方や技術力に大きく影響を受ける方法です。
治療の質を高めるには、各ステップを抜けなく、丁寧に行うことがとても大事です。
当院では、まずはダイレクトボンディングの適応かどうかを診査し、可能ならばダイレクトボンディングで治療しています。
むし歯がダイレクトボンディングの適応範囲を超えていたら、別の治療法になることを患者様に説明し、選択をいただいています。
皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE
名古屋市千種区池下 ナゴヤセントラルガーデン内
歯周病治療、歯内療法、審美歯科、セラミック治療、インプラント、ダイレクトボンディング、歯の移植、予防歯科、総合治療
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|YF DENTAL OFFICE投稿タグダイレクトボンディング, ラバーダム, 名古屋, 歯医者