繰り返す再治療によって、神経が死んでしまった歯の治療(前編)

こんにちは。

今回は、むし歯の再治療を繰り返した結果、神経が死んでしまった歯の治療のお話です。

歯ぐきが丸く腫れています。

この歯は、神経が死んでしまった「歯髄壊死」という状態です。

痛くなって当院を受診なさる前、写真青◯部分のむし歯治療を約3年半の間に2回受けていらっしゃいました。

今回歯ぐきが腫れたのは、2回目の治療の後にむし歯が再発し、ついに神経が死んでしまったためです。

歯ぐきの中では、骨に炎症反応が起こっています。

その結果、歯を支える大切な骨が溶けてしまいます(右レントゲン青◯)。

ある程度溶けると、骨が噛む力を十分に支えられなくなり、食事中に痛みを感じるようになります。


こちらの患者様は、お痛みをご自覚なさった後すぐに受診なさいましたが、

放置してしまうと骨の溶ける量が増えたり、
歯の中の細菌が増え複雑に入り込んだりして、

治療が複雑になる可能性もあるので、やはり放置せず早めの受診が理想です。

治療の最初のステップは、削って元の歯の形がわからなくなる前に、噛み合わせを記録しておきます。

今回は歯に噛み合わせを調べる色をつけ、写真撮影で記録しています。

その他に歯型を取る方法もあります。
状況や全体の治療計画によっても変わります。

ここから本題に入ります。
まず、

はじめに、治療中の唾液や粘膜による細菌感染を防ぐために、ラバーダム防湿を行います。

ラバーダム防湿によって唾液が付かないきれいな環境を作ったら、それまで歯の表面についていた感染物をクリーニングします。

しかし、感染物は目に見えないので、染色液をつけて、

洗い流すと、汚れているところだけピンク色が残ります。

全体を含め、特にこの部分をしっかりとクリーニングします。

綺麗になりました。(私はこのクリーニングをするたびに、私の気持ちもスッキリしています(^^))

これで、
今までの汚れはなくなり、
かつ、
ラバーダムによって、治療中の唾液や粘膜由来の細菌感染も起こらない、

歯の内部を触れるための準備が整いました。


清潔な環境で処置することは、外科処置である歯科治療の基本です。

このように、基本的な全てのステップを積み上げていけば、歯の再治療は大幅に減らすことができます。


ここまで行なって環境が整ったら、はじめて歯を削ります。

詰めてあるプラスチックを削り、さらにその下のむし歯も削ると、

むし歯は神経まで通じてしまっています。
そのため、神経が死んで、歯ぐきが腫れていたわけですね。

この後、細菌たちの生活の場所になってしまった死んだ神経を取る処置に移ります。


長くなってしまいそうなので、この先は後編として書かせていただいます。
前編は、治療成功のために必要な準備のお話でした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ、後編もお読みいただけますと幸いです。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように

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