摂取した栄養素が使われるために必要なこと。

こんにちは。

前回の記事(月1回の分子整合栄養医学の勉強会に参加しました。)に引き続き、
本来持っている機能を発揮できる「本当の意味で健康な体」のための大切なお話です。

 
口から入った栄養素は、消化器や腸管で、消化吸収されて利用されます。
 
体に必要な栄養素を十分取り入れても、消化器や腸管の機能障害によって
消化、吸収されなければ、せっかくの栄養素も体の外に流れてしまいます。
 
今回は、消化管の機能障害を起こす、ヘリコバクターピロリ菌感染の影響について、お話しします。

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image by Helicobacter pylori / pennstatelive

ヘリコバクターピロリ菌が、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になるのは
よく知られていますが、他にも困ったことをしてくれます。

 

1.萎縮性胃炎

ピロリ菌は萎縮性胃炎を起こし、胃粘膜の正常な機能を奪うことがわかっています。
すると、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの様々な栄養素の消化吸収不良がおこり、
せっかく摂った栄養素も、使われる前に体の外に出ていってしまいます。
もったいないですね。

 

2.鉄の吸収阻害

ピロリ菌感染が鉄欠乏性貧血の発症に関与していることがわかってきました。
ピロリ菌の産生する物質が、鉄の吸収抑制を起こしてしまうのです

*体には、血中の鉄が多い時、ペプシジンというホルモンを分泌し、鉄の吸収を抑える機能がある。
ピロリ菌はペプシジンに似た物質を産生するため、鉄の吸収阻害が起こってしまう。

せっかくお肉やレバーを食べたり、サプリメントで鉄を摂取しても、
ピロリ菌のせいで吸収されずに流れ出てしまう訳です。

その結果、鉄不足になり、貧血だけではなく、
鉄が大切な働きをする様々な反応が、
適正に起こらなくなり弊害がでてしまいます。

 

鉄は、よく知られている機能=酸素を運ぶ
だけでなく、他にもたくさんの大事な役割をしてくれます。

鉄不足で鉄欠乏性貧血と聞くと、自分には関係ない、と思う方が多いかもしれませんが、
自覚症状がなくても、鉄欠乏によって体の様々な機能が阻害されるのです。

 

まず、

a. コラーゲンの合成阻害

コラーゲン合成には、タンパク質、ビタミンB群、、ビタミンC、が必要です。

鉄不足は、コラーゲン合成不足につながり、
その結果、皮膚、粘膜、骨、歯、歯ぐきの健康が維持しにくくなります。

・お肌が乾燥しやすかったり、髪の潤いがない
・粘膜が弱くなるため、風邪をひきやすくなる
・口内炎できやすく、治りにくい

など、体のいろいろな場所で鉄不足の影響が出ます。

 

b. 自律神経の機能障害

鉄は自律神経(交感神経、副交感神経)の調整にも必要です。
自律神経は、人間の様々な機能を調整する命令のおおもとなので、
その命令がバランスよく行われることは、あらゆる正常な機能のために必要なことですね。

落ち着きがなくなる、イライラする、寝れない、多動、子供のじっと座ってられない、などは、
糖質を減らし、タンパク質、ビタミンB群、、をしっかりとることで改善することがよくあります。

 

他にも、鉄の大切な役割として、

c. アンチエイジング

抗酸化酵素カタラーゼは、鉄の力を借りて過酸化水を分解し、老化現象を抑えることができる。

d. エネルギー生産

ミトコンドリアでエネルギーが作られる時、鉄の酵素としての働きが必須。

e. 酸素貯蔵

筋肉において、酸素の貯蔵の役割。

f. 解毒反応に関わる。

 

があります。

いろいろ書きましたが、健康な体を維持するためには、
鉄は、栄養素としてとても大事なのです。

 

ピロリ菌は、
そんな大切な鉄の吸収を抑制してしまったり(鉄吸収阻害)、

その他にも、栄養素の吸収不良を起こす(萎縮性胃炎)
のですから、困ったものです。

 

 

世界に目を向けてみると、日本のピロリ菌の保菌率は、先進国の中では発展途上国並みに高く、
50代以降で約80%が保菌しています。

分子整合栄養医学では、栄養改善とともに、ピロリ菌の検査をして、
もし保菌しているなら、除菌することをお勧めしています。

 

必要な栄養素を体に入れるのと同時に、
その栄養素を有効に使えように体を整えることも、大切なのですね。

 

今日は難しい話でしたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

摂りたい食べ物をしっかり咬める健康なお口で、
必要な栄養をしっかり摂って、健康で楽しい人生を送りましょう!

関わることのできた方々が、楽しい生活を送れるよう、お手伝いをしたいと思います。

明日は一日、ずっと楽しみにしていた先生の講演会に出席します。
素敵な日曜日をお過ごしください!


皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院