ダイレクトボンディング治療で、隣の歯を傷つけないために大切なこと

こんにちは。
今日はダイレクトボンディングなどのむし歯治療によって、別のリスクを生まないための、大切なことをお伝えします。

むし歯を治す時に隣の歯を傷つけてしまい、そのことが将来、隣の歯のむし歯の原因の一つになる。

なんていうことのないために、大切なことです。

さっそく写真を見ながら進めます。

むし歯が黒く透けています。
しかし、このむし歯には穴がありません。

このむし歯は、

隣の歯と接している面にできたむし歯です。
それが透けて見えています。
この写真では見えていませんが、隣の歯に面している部分に穴があります。

まずラバーダムを設置し、

清潔で乾燥した環境を整えます。

話がそれますが、
歯に赤い色がついているのは、咬み合わせの歯と当たっている部分を確認するためのものです。

この確認は、ダイレクトボンディング治療のリスクを判断したり、元通りのかみ合わせを復元するために行う、大切なことです。

そして治療後には、治療前の咬み合わせを最大限復元するようにしています。
(意図的に変えることもあります。)


話を戻します。

ラバーダムを設置したら、

治療部位をクリーニングする準備です。
取りたい汚れを目に見えるようにするために、染色液を付けます。

染色液を洗い流して、色が残ったところが落としたい汚れです。

この後、パウダーを吹き付ける掃除器具で掃除を終えたのが、

この状態です。
ピカピカでいいですね。

歯科治療という外科処置においては、「清潔な環境作り」は基本中の基本です。
しかし、大切なステップにも関わらず、確実に行われていない現実もある気がします。

  1. 歯の中を清潔に処置するためにも、
  2. ダイレクトボンディング治療のポイントである「接着」を成功させるためにも、

とても大切なステップです。


ここまで清潔にできたら、歯を削ります。

削る前に改めて、色々な方向からよく観察。

むし歯の入り口がある前側から見ると、

茶色くなっています。
むし歯の中心は見えませんが、茶色いのは中心の周りの軽度のむし歯です。

今回は、咬み合わせ側から歯を削り始めます。

少しだけ削ったところ。
さらに進めます。

かなり広がりがありますね。
茶色いのは、

むし歯になった象牙質の色です。

むし歯は、歯の表面からエナメル質を溶かしながら狭い範囲で進んだ後、象牙質に到達すると横方向に広がりながら、奥に進みます。

この後、むし歯を全て取り切ると、

ここまで削ることになりました。


ここで、話を戻します。
ここからが本題です。

この形になるまでの途中経過についてです。


今回のむし歯を削っていく時には、

このように隣の歯に接した歯を削っていくわけですが、

削りたい緑のラインは、隣の歯(グレー)にほとんど接するほど近い位置にあります。

緑のラインを削るためにドリルを動かすと、

隣の歯にドリルが当たって、傷が付いてしまいます。

その傷はザラザラしているので、細菌の足場になりやすく、そこからむし歯が進んでしまうこともあります。


むし歯治療をする時に関係のない隣の歯が傷つき、新たなむし歯を作る可能性がある。


ということです。

隣り合う歯のむし歯治療では、この現象が起こるリスクがあります。

そのリスクを防ぐためには、こんな道具を使います。

先端がとても小さな半球状になっていて、
隣の歯に接するところはツルツルで歯に触れても削れない、それ以外にはダイヤモンドが付いていて削れるようになっています。

この器具はドリルのようにクルクルと回転するのではなく、これ自体が目に見えない細かさで振動します。
その振動により、ダイヤモンドが当たった部分だけが削れます。


歯の間のむし歯を削るためだけに用意された器具、ということです。
逆にいうと、
理想通りの歯の間のむし歯治療は、この器具がないとできないこともあります。


この器具を全体にわたって、

慎重に動かし、隣の歯を傷つけることなくむし歯を取り切ります。

最終形はこうなりました↓

ここからはいつもの通り、

隣の歯を保護した後、エナメル質のエッチング処理(酸処理=エナメル質表面を接着しやすい性状にする)

その後、プライミング処理、ボンディング処理と進め、

レジンを詰め終えました。

研磨終了。

ラバーダムを外して、

咬み合わせの調整が終わったところです。

治療が終わったら、麻酔が効いている1−2時間は気をつけていただきながらですが、食事や歯磨きをしていただけます。

また、写真では歯ぐきから出血していますが、ラバーダムや器具の圧迫などによるもので、数日で治ります。


今回の治療は1回、90分でした。

90分の中で、

  1. 治療前の説明
  2. 治療
  3. 治療後の説明

を行います。

  1. 治療前の説明
    前回の治療の確認。
    今回の治療内容に関する不安やご質問を伺い、私からは治療内容の説明。
  2. 治療
    途中で顎を休めていただいたり、問題がないか確認しながら進めます。
    治療内容や考えられる処置中の選択肢については、事前に十分に話し合っているので、手を止めてお話しすることはなく、効率的に質を追求して進めます。
    治療中はマイクロスコープや、一眼レフカメラで撮影記録を撮り続けます。
    無言の時間が流れます・・・。
    お休みなさる(睡眠)方も、よくいらっしゃいます。
  3. 治療後の説明
    治療中の動画や写真を2つの大画面モニターで見ていただきながら、治療内容の報告をします。
    治療後に起こりうる変化などについても、十分説明します。


私が自分の治療を受けるのならば、治療前には選択肢や内容、不安なことはしっかり説明を聞きたいです。
治療後も、実際の治療内容を記録を見ながら知りたいと思います。

ですので、治療前後の説明は、私にとっては抜くことのできない大事な時間です。


そして、私が受けるならば、説明はできるだけわかりやすい説明、特に、論理的でわかりやすい説明がもらいたいと思います。

私が説明する時には、

  • 十分な
  • わかりやすい
  • 論理的な

説明を心がけています。

まだまだ足りないところが多くあると思いますが、この部分に関しては終わりがないと思うので、より良い説明を追求し続けます。



今日は、むし歯治療において隣の歯を傷つけないための器具のご紹介でした。

当たり前の歯科治療を当たり前に行うためには、こだわるポイントがたくさんあります。
確実に精度高く行われた各ステップがあり、その連続が質の高い治療を生みます。
質の高い治療は、良い治療成績につながります。

これからも基本を大事に、コツコツと歯科医療を高めていきたいと思います。


皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE

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