お口の安定に必要なこと(前編:炎症のコントロール)

 

こんにちは。

お口に関するトラブルは、とてもストレスで憂鬱なものですよね。
お口のストレスを感じることなく、生涯にわたり安定したお口の状態を維持するためには、

  • 歯や歯ぐきが感染症=むし歯や歯周病に罹っていないこと
  • 歯や顎にかかる力のバランスが取れていること

が必要です。

今回はお口の状態が長期間安定するために必要なことについて、お話したいと思います。
途中で分子整合医学のことも織り交ぜながらの記事になりました。
少し堅苦しい話ですが、お付き合いください!

お口の長期間の安定に必要なこと

長い期間お口の健康を維持するためには、次の2つが必要です。

  • 炎症のコントロール
  • 力のコントロール

 

例えば、以下に挙げられるような、歯科医院で行われる治療や予防は、
どれも2つのコントロールに分けられます。

・むし歯や歯周病の治療(歯科の2大感染症)
・クリーニング、歯磨き練習
・被せ物治療
・歯ぎしりや噛みしめの治療

 

そして、2つのコントロールはどちらも、医療提供側と患者さま側のそれぞれに、
行うことがあります。

まずは炎症のコントロールからみていきましょう。

炎症のコントロール

炎症については、このブログではよく取り上げてきました。

炎症とは

生体にとっての刺激(化学的、細菌学的、物理的)に対して、
生体が自らを守るために免疫反応(刺激と体の戦い)を起こし、
その結果、生体に現れた症状のことです。

みなさんを苦しめてしまうその症状は…

  • 腫れる
  • 赤くなる
  • 熱をもつ
  • 痛い
  • これらによる機能障害

です。

 

このような症状は、辛く、できれば感じたくないものですね。

しかし、言い換えると、
生命を維持するために、体が頑張ってくれていることそのものを表す症状です。

 

ですので、消炎剤で無理やり抑えようとしても、
せいぜいその程度を少し軽減できるくらいに過ぎません。

体が必要に応じて起こしてくれている戦い自体は、止めることはできないのですね。

炎症で苦痛を感じたときは、
「困ったなーやめてくれよー」と責めるよりは、むしろ、
「頑張れ細胞たちー」と応援してあげて欲しいくらいです。

炎症への対応

炎症による苦痛が強ければ、消炎鎮痛剤に頼るのもよろしいかと思いますが、
それと同時に、戦いを起こしている根本原因をなくすことが必要です。

原因としては、歯科の場合、細菌が原因であることが多いですが、
例えば、その他にも歯科材料自体の化学的刺激や、
また、温度刺激も極端に強ければ、炎症の原因になります。

 

ここでいう炎症のコントロールとは、
具体的には、炎症を起こす原因を除去する根本療法のことを意味します。

イメージしやすいところでは、

・むし歯治療(むし歯を削り、形を復元)
・歯周病治療(歯周病菌のマンションである歯石除去)
・その予防(むし歯菌や歯周病菌が住みつかないように、クリーニングや歯磨き練習)

が挙げられます。

予防医学を基にした予防法

炎症のコントロールについては、ここまでにお話しした
「原因となる感染源を排除し続ける」
という考え方の他に、

「炎症に対して、生体が最大限の治癒力を発揮できるように、あらかじめ整えておく」
という考え方もあります。

 

もしも炎症が起こったときに、少しでも早く楽になるように過ごしたいのでしたら、
普段から体のコンディションを整えておくのが一番の近道です。

そうすれば、たとえ原因が体の中に侵入しても、
生体が本来の免疫反応を最大限発揮できたり、組織の修復も早く完了します。

 

コンディショニングといえば、

  • 睡眠、休養
  • 適度な運動(エネルギー生産の場としてのミトコンドリアを増やす)

などが挙げられますが、

 

例えば、分子整合栄養医学的観点では、

  • 炎症反応を強くしてしまう糖質の摂取はできるだけ控える。
  • 体が必要な機能を発揮できるための栄養素、つまり、
    タンパク質、脂質、ビタミンB群、ビタミンC、鉄(動物性食品由来)、亜鉛を、至適量摂取する。

と考えます。

 

「従来の予防歯科の概念=綺麗にすることこそが、お口の健康を守る方法である」
だけで、お口の健康を守ろうとするだけではなく、できればもう一歩進んで、

「体そのもののコンディショニングをすることで、病気にならない体を維持する」
という考え方も合わせるのが、生活の質をさらに上げることができるものと考えます。

体を健康に保ち続けて、有限な人生を有意義なものにした方が、人生楽しいと思うのです。

 

特に欧米を中心とした予防医学の世界では、栄養学的アプローチは日本よりもずっと普及しています。
日本でも5年ほど前より、知られるようになりました。

おそらく今後さらに目にすることが増えると思われます。
正しい情報を手にいれるスキルと、サポート体制が必要になるでしょう。

まとめ

炎症のコントロールは、その原因を除去し続けることを意味します。

また、これからは、これに付け加え、

生体の本来持つ治癒力を発揮できる体づくり(分子整合栄養医学によるアプローチ)

も、炎症のコントロールに付け加える時代だと考えています。
一部の人たちは、すでに生活に取り込んでおり、病気になりにくい体を手に入れています。

 

かかってしまったむし歯や歯周病といった感染症を、治療することはもちろんですが、
そこに至る原因となった環境、習慣を見直し、再び繰り返さないために、
患者さまが自ら全身の健康を含めた予防を心がけることは、ご自身のために一番大切なことです。

(*セルフケアがすべての原因とは限りません。ぴったり合っていない詰め物や被せ物など様々な条件が重なって発症します。)


ここまでは以前にも似たようなお話をしたこともありますね。
分子整合栄養医学のことは、今までで一番具体的な話をしたかもしれません。
概略の説明の前にいきなり栄養素の話をしてしまいました…

2つ目の力のコントロールについては、長くなってしまいそうなので次回に続きます。

 

お疲れ様でした!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

みなさま、良い週末をお過ごし下さい!

 

皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、残す」藤井歯科医院