お口の安定に必要なこと(後編:力のコントロール②)

こんにちは。

前々回から「お口の長期間安定に必要なこと」として、

  • 炎症のコントロール
  • 力のコントロール

についてお話しています。

前回は力のコントロールの前半のお話。
歯ぎしりや噛みしめによる力は、有害な力として働き、長期的には様々な障害を起こす可能性があります、というお話まででした。

今回は、その続きです。
上下の顎は普段どんな位置関係にあるのが理想なのか、というお話からです。

その前に、これまでの確認をしましょう。

《長期間の安定に必要なこと》

・炎症のコントロール                       前々回
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・力のコントロール
 1.歯や歯並び全体にかかる、力の大きさや方向を適切にする
 2.寝ているときの歯ぎしりや昼間の噛みしめなどの、癖による力をなくす
   ・癖とは
   ・具体例                          前回ここまで
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   ・上下の顎の理想の関係                   ←今回はココからです。

 
上下の顎の位置関係

本来、上下の歯の噛み合わせは、食事しているとき以外は基本的には、接触していない状態であるものです。

つまり、唇が閉じて上下くっついていても、口の中で上下の歯は離れている状態です。
この下顎の位置を、「下顎安静位(かがくあんせいい)」と言います。

 

今、この文章を読んでいるときは、いかがでしょうか?
理想は、唇は触れて閉じていて、歯は離れている状態です。

上下の歯をギューと噛んで押し当てていないでしょうか?

 

もしそうならば、歯や筋肉には正常以上の負担がかかっています。
歯がしみる場合は、その原因になっていることもあります。

歯にかかる力の大きさ

噛む力といえば、食事のときの力を思い浮かべるでしょうか。
食事のときにかかる力は強いですが、歯が接触している時間はほんの一瞬です。

 

ところが、歯ぎしりや噛みしめは、長い時間持続的に力がかかります。

昼間にしてしてしまう、食いしばりのような弱い力だとしても、それが長い時間持続すると、
力の総量は、力の大きさ × 時間 で表され、大きくなります。(力積)

さらに、夜間食いしばりや歯ぎしりは、昼にはできないような強い力で持続的に行ってしまいますので、歯にかかる負担はさらに大きくなるでしょう。

歯ぎしりや噛みしめによって、歯が悲鳴をあげています。

治療

歯ぎしりや噛みしめへの対応は、

夜間歯ぎしりには

  • 対症療法:マウスピースをつけて寝る
  • 根本療法:抱えている様々なストレスへの対応(肉体的・身体的)
         栄養療法(主に糖質コントロール)

昼間噛みしめには、

  • 根本療法:認知行動療法を応用したリマインダー法

があります。

 

【歯がしみる場合】
むし歯以外で歯がしみる場合には、「歯磨きでゴシゴシやりすぎ」だけが原因ではなく、
力の問題が潜んでいる可能性もあります。

ですので、歯科医院での歯磨き方法の確認だけでなく、
生活の中で噛みしめを引き起こす可能性のある原因を見つけ出し、一つ一つに対応したいところです。

こういう内容はじっくりお話しを伺って初めて見つかることもありますので、患者様とのお話の時間はとても大事です。

 

間違っても、しみるからといってすぐに歯を削ったり詰め物をしたりしてはいけません。(と私は考えています。)
しみる=詰める、は根本解決に繋がりません。

根本解決にならないことをして、さらに、その詰め物の周りが数年後に二次むし歯、再治療、
というループに入ると、長い目で見るとただ悪化しているだけ、ということがありますので、
気をつけましょう。

「噛みしめ」と「しみる症状」の関係を理解していただいて、噛みしめをやめることで、
しみる症状が消えることはよくあります。

やはり、根本解決が大切です。

より複雑な混合型

前回お話ししました、1.力の大きさや方向の問題と、
2.癖による力の問題の混合型、つまり、

歯の形や位置の不正があり、なおかつ、歯ぎしりや噛みしめといった癖をお持ちの場合は、

歯が割れたりグラグラになったり、噛み合わせが変化して顎関節症状が出たり、と、
お口の安定が得られず崩れていくこともありますので、要注意です。

わかりやすい症状がすぐに出ることなく、気づかないうちに進行し。
そして症状を感じたときには、後戻りが難しい変化が起きていることもあります。

かかりつけ歯科医院

ご自身の状態をよく診てくださって、適切な診断、アドバイスをいただける《かかりつけの歯科医院》を持つことは大切です。

感染症としての歯や歯ぐきの異常だけを診るのではなく、
力の問題と、それに関わる生活の中に潜む習慣や生活環境も把握した上で、
患者さまと向い会うことはとても大事なことです。

力の問題にこだわって取り組むのは、時間がかかって地味でわかりにくく、
患者さまにはすぐその時には実感しにくい処置が多いです。
ですが、忘れた頃に年単位で、お口の状態として戻ってきます。

歯科医療は基本的には、2つのコントロールを行っています。
これらを確実に、精度高く行うことで、将来の安定を得ようとするのが歯科治療です。
些細にみえることでも、一つ一つの積み重ねがとても大切です。


ここまでお読みいただだき、お疲れ様でした。
全3回で「お口の長期間安定に必要なこと」としてお話ししました。

理屈ばかりの内容になってしまいましたが、いつかどこかで、何かのお役に立てれば幸いです。

 

短期的に苦痛から解放されるだけの治療ではなく、患者さま一人ひとりの特徴を把握して、
長期間の安定を見据えた診療を目指します。
そして、これからも、基本を大切に確実に積み重ねて、診療にあたります。

 

それでは、良い週末を!

皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁

名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、
総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、残す」藤井歯科医院

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