歯周病と全身疾患を予防して、健康寿命を延ばす!
こんにちは。
今回は、私たちの全身の健康と、寿命、
特に、「健康寿命」についてお話します。
お口の健康と全身の健康の関係、それによってもたらされる寿命について考えてみましょう。
前回(歯周病と全身の健康)、
体の中に慢性炎症が存在すると、慢性炎症がある場所から離れた場所でも、
様々な問題を起こすことがわかってきている、というお話をしました。
慢性炎症によって引き起こされるシグナルが、
元の炎症がある場所と関係ない場所でも働いてしまうために、そのようなことが起こります。
そして、慢性炎症の一つで、身近なものに歯周病があります。
しかも、歯周病は自覚症状を感じにくく気付きにくい病気であるために、
長い期間、慢性炎症を体に抱えることになりがちです。
今回は、「歯周病、全身疾患、寿命」について、関係をお話します。
健康寿命
健康寿命という言葉をご存知ですか?
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、のことを言います。
元気で、自分のことは自分でできて、楽しく生活できている期間、ということですね。
出典:厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25
このグラフは、青:平均寿命、赤:健康寿命です。
健康寿命と平均寿命の差が、男性で約9年、女性で約13年あります。
人生の最期の9〜13年間は、健康上の問題で日常生活が制限されている、ということになります。
できれば、この期間は、短い方がいいですよね。
この差が少ないほど、最期の時までずっと元気でいられる、ということです。
我が国が掲げる国民の健康増進の目標に、
「健康寿命を伸ばし、この差を少なくする」ということがあります。
だれでも、健康寿命は長い方がいいと思いますよね。
そして健康寿命を短くしてしまう要因に、様々な全身疾患があるというわけです。
全身疾患につながる慢性炎症
健康寿命を短くする可能性のある全身疾患ですが、慢性炎症が関係していることはお伝えした通りです。
川の最下流に、健康寿命を短くしうる全身疾患、たとえば、
心不全、脳卒中、認知症、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、それによる失明、腎疾患、透析
があるとすると、
その最上流には、
歯科で見られる慢性炎症=歯周病、むし歯があります。
上流で濁った水=「小さな範囲で長期間起こっていた慢性炎症=歯周病、むし歯」は、
流れていくにつれだんだんと被害の規模を大きくしていき、
下流に流れ着く頃には、健康寿命に関わる全身疾患として現れてしまいます。
健康寿命を伸ばし、健康上の理由による人生の質の低下を防ぐには、
できるだけ上流で悪い流れを食い止める必要があるのです。
3月に出席した、米国抗加齢医学会認定医・森永宏喜先生のご講演で伺ったお話によると、
2015年末に開催されたアメリカ抗加齢医学会(A4M)総会でも、
多くのプレゼンターが、慢性炎症を「死に向かう病」として、
慢性炎症と全身疾患の関連について取り上げ、
なかでも、
「歯周病は心血管疾患の主な原因のひとつ」
として認識され、その知識と医学的アプローチは、浸透しているとのことでした。
アメリカでは10年以上前に、「TIME」誌(一般ニュース雑誌、医学誌ではない)で、
慢性炎症と全身疾患のことが取り上げられているのに対し、
日本では一部の専門家にしか扱われていないということでした。
少しでも多くの方に、
歯周病をはじめとする慢性炎症と全身疾患の関係を知っていただきたいと思います。
健康寿命を伸ばして、最後まで充実した楽しい人生を送りたいですね。
健康寿命を延ばすために、病気のないお口の中を。
健康寿命を延ばすための第一歩として、病気のない健康なお口を維持しましょう。
お口のメンテナンスから遠ざかってしまっている方は、
まずは、自覚症状がなくても、ご自身のお口の状態を把握するために受診し、
ご自身と歯科医院の二人三脚で、お口の健康を管理できるようにしましょう。
「悪くなってから治療する」
ではなく、
「悪くならないように、お口の健康はいつも維持管理する」
そんなお口の健康との付き合い方にして、
消化管としても、病気としても最上流の、お口の健康を保ちましょう。
これから数日間、暑い日が続くようです。
糖質の少ない水分補給をし、タンパク質をしっかり摂り、ビタミン、ミネラルを十分補給しましょう。
明日は月星先生主催のCEセミナーOB会に出席し、再生医療について学んできます。
再生医療の最先端と、組織再生の基礎についてのお話が聴けるかと、楽しみにしています。
素敵な週末を!
皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁
名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院