むし歯治療・歯周外科・根の治療を、コツコツと。
こんにちは。
今日は治療のお話です。
左上の一番奥の歯に、何やら不自然な形の歯があるようです。
別のレントゲンで見てみると、
少なくとも、4つの問題がありそうです。
・赤丸:歯の形に合っていない金属が付けてある。
・青丸:その金属と歯の間の歯がむし歯で溶けている。
・水色ライン:骨が溶けて下がっている。
・黄色丸:根の先端の骨が溶けている。
この歯は、ずっと以前に治療を受けた歯ですが、
ご本人も長い間自覚症状を感じないままに、歯の中にバイキンの住みかがあって、
骨や歯が溶けてしまっていたようです。
本来でしたら、
赤ラインで被せ物が入って、骨は水色ラインで保たれていてほしいです。
一番後ろの歯のさらに後ろ側の治療は、もとても難しい時があります。
光が届かないために暗くて十分に見えず、さらに場所が狭くて角度的にもとても制限が多いためです。
特に、むし歯が深い場合は、強いライトと高倍率の拡大視野による治療でないと、
真っ暗で見えません。
拡大無し、裸眼の治療では、手探りの感覚に頼って治療することになり、
どこを触っているのかはわかりませんし、確認ももちろんできません。
そうなると、理想通りの処置ができず、
結果的にこのような、歯の形とかけ離れた金属を付けることになってしまったのかもしれません。
このように歯の形に合っていない、隙間の多い物を歯に固定してしまえば、
細菌の溜まり場ができて、歯はむし歯に、歯ぐきは歯周病になることも、当然の結果なのでしょうが…。
今回、この歯の治療では、
- 入っている金属を外し、その下のむし歯治療
- 残った健康な歯と骨の、理想的な位置関係を作るために歯周外科(歯ぐきを切って骨を削る)
- 根っこの中の細菌をきれいにする(歯内治療)
- 被せ物で歯の形を復元。
を行います。
これ以上歯と骨を失うことなく、歯の寿命を延ばしたいものです。
治療前は、
ぱっと見とてもきれいな歯ぐきに見えます。
被せ物を外してみると、
金属の土台が入っています。
歯に合っていなかったのは、この青丸の部分。
合っていない金属を削って本来の形を出し、歯周外科処置を行いました。
歯ぐきの中の骨の形を整えることで、
むし歯を取った後に残る健康な歯と骨が、理想の位置関係になるようにします。
また、粘膜の厚みを薄くすることで、メンテナンスしやすい歯ぐきを作ります。
オペ後、歯ぐきがきれいに治るのを待ってから、
残してあった金属を全て外して、その下のむし歯をきれいに取り除きます。
次に歯内治療を行うために、壁を作ります。
これで、歯内治療中に唾液や血液が歯の中に入って、細菌感染してしまうのを防げます。
ここまできたら、歯内治療を進め、グラスファイバーで歯の補強、被せ物の型取り、と進みます。
今回の歯には、複数の問題がありましたが、
患者さんが、外科処置を含む治療計画を受け入れ、各治療を頑張っていただいたからこそ、
計画的に丁寧に進めることができました。
患者さんにとって、自覚症状のない歯の治療、しかも外科処置も含む治療計画を受け入れるのは
大変なことですよね。
ご本人の、「この歯を守りたい!」という強いお気持ちがあったからこそ、進められたのだと思います。
治療終了後は、メンテナンス時に経過を確認していきます。
患者さんのお気持ちにお応えできるよう、
・わかりやすい説明。
・お一人おひとりのお考えを最重視した計画の提案。
・できるだけ苦痛の少ない治療
・メンテナンス
・納得
を心掛けた診療を行ってまいります。
暑い日が続きます。
お体にお気をつけて、素敵な週末をお過ごしください!
皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁
名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院