奥歯3本の審美治療(ダイレクトボンディング、セラミック)
今日は、連続する3本の奥歯の治療についてご紹介します。
右側3本は既に他院さんでの治療が済んでいますが、
それぞれの治療の跡には、隙間や段差があり二次むし歯や歯周病が起こっていました。
それらの問題点を改善し、
治療を終えたところです。
むし歯や歯周病は無くなり、セルフケアも行いやすくなりました。
治療内容を振り返りながらご紹介します。
初診時の状態です↓
↑:歯ぐきが赤く腫れています。
被せ物やダイレクトボンディングが、理想の形を復元できていなかったり、適合が十分ではないことが原因です。
そのため、隙間や段差に細菌が住み着いて、歯周病を起こしています。
歯の治療を始める前に、まず歯ぐきの治療=歯周病治療を行います。
これから行う審美治療が成功し、長持ちするためには必要な治療です。
歯周病初期治療として以下を行いました。
- セルフケア(デンタルフロス、歯磨き)の練習
- 歯科衛生士さんによるクリーニング
- 歯ぐきが痛む原因になっている不適合なダイレクトボンディングを、応急処置として削って形を修正
特に、1.セルフケアの練習は、これから長い期間ご自身でお口の健康を守るために、とても大事なことです。
治療が終わってからも、時々確認して必要があればアドバイスと練習をします。
歯周病初期治療が終わると、
初診時にブヨブヨしていた歯ぐきが、硬く引き締まりました。
色も綺麗なピンク色です。
この結果に一番効果があったのは、患者様のセルフケアの改善です。
ここまでセルフケアが上手にできれば、生涯にわたってお口の健康を維持しやすくなります。
ここからいよいよ3本の治療を始めます。
まずは、真ん中のクラウンの中のむし歯治療です。
ジルコニアクラウンを外したあとラバーダム防湿を行い、清潔な環境を作ります。
その後で、土台の歯のむし歯を削ったところです。
部分的に深いところもありますが、ラバーダム環境下で清潔に治療することで、神経への影響は最低限に抑えられます。
削った穴をレジンで保護します。
治療後の症状はありませんでした。
次に、左側の小臼歯のダイレクトボンディング治療を行います。
ラバーダム防湿を設置したら、
掃除のために汚れを染めて、見えるようにしてから掃除し、
清潔な環境が整いました。
治療部位を清潔にすることは、手術を清潔な手術室で行うのと同じことです。
地味で当たり前のことに見えますが、治療の質を保つためにはとても大切なことです。
レジンとその下のむし歯を削り取り、
ダイレクトボンディングで復元しました。
この歯は、ほっぺた側にも↓
不適合なレジンがありました。
その治療用にラバーダムを付け替えてからレジンを削り、ダイレクトボンディングで治しました。
歯ぐきが赤くなっていますが、数日で綺麗に治ります。
次に、一番奥歯のダイレクトボンディング治療を行います。
この歯も、噛み合わせの部分とほっぺた側の2箇所を治療します。
ほっぺた側は歯ぐきに接する部分に治療の跡があります。
ダイレクトボンディング治療が成功するためには乾燥した環境整備が絶対条件ですが、以前の治療は歯ぐきからの水分にさらされたまま行われたのでしょうか。
ラバーダムで歯ぐきを押し下げると、レジンが歯ぐきに接する部分に大きな隙間が確認できます。
今回は同じことを繰り返さないようにラバーダムを設置し、清潔で乾燥した環境を確保したうえで、ダイレクトボンディング治療を行います。
以前のレジンとむし歯を削り取り、
レジン充填、研磨しました。
次に、咬み合わせの部分の治療に移ります。
入っていたレジンを削り取り、
そして最後に、奥から2番目の被せ物治療に移ります。
両隣の歯は、ダイレクトボンディングが終わった状態です。
この後、型を採り、出来上がった被せ物をつけます。
被せ物が歯に接する歯ぐき側の境界部分は、細菌侵入のリスク部位です。
その領域には歯ぐきがあります。
被せ物をつける時に、歯ぐきが土台の歯に触れるということは、歯ぐきの水分と細菌が土台に付着することを意味します。
その結果、治療後の痛みや接着剤の質の低下につながり、長持ちしにくい治療になってしまいます
上の写真は、それらを防ぐために、歯ぐきの溝の中に糸を押し入れ、歯ぐきと土台の距離を確保したところです。(歯肉圧排)
その後、土台の表面を掃除する準備として、染色液をつけて、
液を洗い流したところです。
色の残っているところが掃除するべき部分です。
全体の掃除を終えた状態です。
この後、
土台の表面を消毒します。
クラウンを被せる直前の清潔な状態です。
クラウンの内側も完璧に掃除をしてから、
セメントで付けます。
セメントが固まるのを待った後、はみ出た接着剤を取り除きます。
付けた当日は歯ぐきが傷ついていて馴染んでいませんが、1週間後には綺麗に調和します。
患者様との計画では他の部位の治療も予定していたので、次回お会いする時に治療後の経過を確認し、問題ないことを確認したら治療終了です。
治療部位が多くても、処置を一つひとつ丁寧、正確に行い、各ステップの質を高く保つことが大切です。
その連続が、全体の成功、そして良好な長期予後につながります。
さらに大事なこともあります。
それは各処置に入る前の、治療の「ゴール設定」です。
それにより方針と計画が決まり、部位ごとの治療につながります。
場当たり的な行動のつながりの結果、ゴールに辿り着く、のではなく、
まずゴールを決め、次にそこへのルートを決める。
そのプロセスとして質の高い処置をつなげていく。
患者様の明るい未来のためには、この考え方とやり方がとても大切です。
高いレベルの治療成績を出す先生方は、処置がうまいだけではなく、このレベルが高いのです。
患者様のお口が「その時」治るだけでなく、生涯にわたり健康に生活できるよう、ゴール設定、治療計画から各治療まで広く学び続けます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
皆さまが快適なお口と健康な体で、楽しい毎日を過ごせますように
YF DENTAL OFFICE
名古屋市千種区池下 ナゴヤセントラルガーデン内
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