セルフケアと食事改善で、お口も全身も健康になれます。
こんにちは。
今日は、3ヶ月に一回のメンテナンスを続けていらっしゃる患者さんのお話です。
もともと、虫歯が痛くてご来院なさいました。
お口の環境は、決していいとは言えない状態でした。
初診時の写真(横から見た写真)
歯ぐきが歯周病菌のせいで少し傷んでいます。
傷んでいる歯ぐきに矢印をつけると、
磨きにくい歯の間や奥歯周りにはプラークが残り、歯ぐきは少し腫れています。
歯と歯ぐきの境目付近には、全体的にプラークがべったり付いていて、食習慣の影響が考えられます。
患者さんへは、歯磨き練習やクリーニングだけでなく、
食生活の改善をお伝えしました。
プラークが多いのは、歯磨き不足が原因なだけではなく、
そもそも、プラークがたくさんつきやすい食習慣をしている可能性があります。
そして、プラークがつきやすい食習慣は、歯や歯ぐきに悪影響なだけでなく、
健康状態を保ちにくく、全身に必要な栄養素から見ても、
健康な体を維持するための栄養素が不足する可能性が高いです。
プラークがつきやすい食べ方とは、
パンやクッキーなどのネチャネチャ系の歯に付くものをよく食べていたり、
間食を頻繁に摂っている「ダラダラ食べ」です。
また、お食事で炭水化物の占める割合が多いことも、プラークのつきやすい要素になります。
そして、今挙げたパンやクッキーのような間食も、炭水化物の多いお食事も、
栄養素の面で捉えると、糖質をたくさん摂っているということです。
糖質をたくさん摂っていると、体は次のような悲鳴をあげます。
- 高血糖状態が続くことで、炎症が起こった場合に強くなったり、改善しづらい。
- 血糖値の調整過程で、血糖値の乱高下が起こり、身心共に疲労が強く出る(だいぶ省略してます…)
- 正常以上の老化が進み、肌荒れ、シワや、様々な疾患(動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、骨粗しょう症、アルツハイマー、白内障など)の原因になりうる。
また、糖質が食事の大部分を占めれば、それだけで満腹感が得られてしまうために、
体が本当に欲しがっている栄養素を摂る量が減り、本来の正常な機能を発揮できなくなってしまいます。
本来、私たちの体が必要としている栄養素とは、
- タンパク質
- 脂質
- ビタミン・ミネラル
です。
- 体は基本的にはタンパク質で出来上がっています。
筋肉や皮膚、歯ぐきはもちろん、アドレナリンなどのホルモンもタンパク質でできています。 - 細胞の表面には脂質があり、細胞一つ一つの健康を維持しています。
- これらの材料が使える形に変換されるときに、ビタミン・ミネラルが必要です。
必要な栄養素で常に体を満たしてあげて、その後で、食事のお楽しみとして炭水化物を
入れてあげるのはいいかもしれませんが、
この3つが足りないのに、弊害の大きい糖質をたくさん体に入れるのは、
「いつか病気になる体作り」と言っても言い過ぎではありません。
部品が揃っていない車にガソリンを入れて、アクスルをベタぶみするようなものです。
糖質を抑えて、この3つをたくさん入れてあげることは、体も喜び、
プラークの少ない口腔内環境にもなり、いいことばかりなのです。
と、こんな感じのお話を患者さんにお話して、衛生士さんとは歯磨き練習をしました。
そして3ヶ月後には…
腫れていた歯ぐきが、引き締まってスリムになっています。
写真の構図が違いますが、並べると、
赤く腫れていた歯ぐきはピンク色になり、出血しない丈夫で健康な歯ぐきに生まれ変わりました。
患者さんに聞くと、
・食生活は糖質を減らし、お肉や魚、卵をできるだけ増やしている。
・歯磨きは、練習したように気をつけて行っている。
ということでした。
嬉しいです!
患者さんの、体を大切にしたい、というお気持ちから、習慣を変えられたことに拍手です。
食事内容を改善することで、それまでの食事内容に比べて、
歯ぐきの治癒力が発揮されるために必要な栄養素が体にたくさん入り、
本来の治癒力が発揮され、治りやくなります。
歯周病の治癒に深く関わる栄養素は、
- タンパク質
- 鉄
- ビタミンC
- ビタミンB群
- 亜鉛
です。
ちなみにプラークのつきにくい食生活と、歯磨き習慣の改善により、
歯ぐきだけではなく、右の写真の初期虫歯も悪化せずに維持できています。
右側の写真の青色矢印の部分。
歯ぐきに近い部分の歯が白くなっています。
これは、おそらくプラークが多かった時期にできた、初期虫歯です。
今は、清潔な環境を維持できているために、進行していないようです。
患者さんの頑張りの成果が、ここにも現れていますね。
このままいけば、削らなくて済みそうです。
ここは一度治療すると再び虫歯になりやすい部分なので、
虫歯を作らない食習慣、セルフケア習慣作りをなんとか成功させたいところです。
今回、食事とセルフケアの改善によって、患者さんのお口の中だけでなく、
全身の健康にも近づくことができ、とても嬉しい経験でした。
健康な体づくりは、健康目的で定期的にお会いできる歯科医院の得意分野です。
健康づくりのチャンスを持っている歯科医院が果たす役割は大きいのです。
そのためには、
生体の状態を、分子レベルで生化学的、生理学的に捉え、必要な栄養状態に整える、
分子整合栄養医学がとても役立ちます。
食べるもので体は変わり、人生まで変わります。
お口の健康を獲得するだけでなく、
健康な体で人生を楽しめる方が増えれば、それは私の喜びです(^^)
そんな方のお役に立てるよう、これからも栄養学の勉強を続けます。
皆さまが快適なお口で、楽しい毎日を過ごせますように
藤井歯科医院・副院長
藤井芳仁
名古屋市天白区植田
歯周病、インプラント、審美歯科、歯内療法、予防歯科、総合治療の
「大切な歯をできるだけ削らない、歯と神経を残す」歯医者|藤井歯科医院